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“お兄ちゃん”
.
はは、と軽く笑う大貴。
つられて口角を上げるけど、どうしてだろう……
大貴の言葉に胸が痛くなって、
頬が引きつって上手く笑えなかった。
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大貴「とりあえず帰るか。
知念も心配してるだろうし。」
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小さく頷く。
元気無くなっちゃった?とか言うけど、
多分大貴のせいだよ。
さっきまで繋いでた手も今は繋ぎたくなくて
とぼとぼと下を向いて歩く。
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侑李「連絡待ってたんだけど。」
.
いつの間にか家に着いていた。
スマホを握りしめた侑李の鋭い声で
そのことを忘れていたことに気づいて。
俯いて、ゴメンと口パクで言えば
あんまり怒られなかった。
すごく、怒られるかと思ったのに。
.
部屋に上がって、私服に着替えると
ご飯出来た、と扉越しに侑李の声が聞こえて。
ドアを開けると、侑李はそのままずかずかと
部屋に入ってきた。
な、なに…?
.
侑李「……さっきからそんな顔して何なの?
夏菜って子の家で何かあった?」
.
勝手に入ってきたくせに、
戸惑いがちに投げかけられる、程よく落ち着いた声。
顔を上げないまま、ふるふると首を横に振った。
しばらく私の様子を伺っていた侑李だけど
ずっと下を向いてる私にしらを切らして、じゃあ…と口を開く。
.
侑李「……大貴?」
.
眉をひそめて、低い声になる侑李。
.
“お兄ちゃんとしては寂しい”
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何かされたわけじゃない。
ただ、私がまた勝手に大貴の言葉に傷ついてるだけ。
“妹“扱いされたことに
勝手に傷ついてるだけだから。
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だから私はまた首を横に振った。
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侑李「……じゃあ早く、ご飯食べに行こ。」
.
コクリと頷く。
何も言わない私に気を使ってくれたのか、
その日はそれ以上聞かれることはなかった。
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まりも(プロフ) - 菜子さん» 読んでくださり、ありがとうございます。このお話が菜子さんの心に残ったようで…そう言ってくださってとても嬉しいです。伊野ちゃんメイン残ってお話、、検討しておきます 笑これからもどうぞよろしくお願いします。 (2019年1月19日 20時) (レス) id: aaad2f0c31 (このIDを非表示/違反報告)
菜子(プロフ) - まりもさんの作品をはじめて読ませて頂きました。読んでいて本当に心が温まるし、作品を作ったことのない私はいつか、まりもさんのように読んでいて気持ちが和むような作品を作りたいと思えました。これからも楽しみにしています!!伊野尾くんメインの作品お願いします (2019年1月13日 19時) (レス) id: f717513e5e (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - きんぐとるさん» ありがとうございます(o^^o)声が出ないという設定はどう書けばいいかとずっと考えていたので嬉しいです!ありがとうございます!笑いつ再開するかまだ分かっていませんが、書くときはまたお付き合いください。 (2018年6月17日 20時) (レス) id: 0257840ab5 (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - ひー☆さん» ありがとうございます!書き始めたときから読んでくださっていて光栄です!ありちね担のひー☆さんに満足して頂けて良かったです!ありちねメインのお話、是非検討させていただきます!こちらこそご愛読ありがとうございました! (2018年6月17日 20時) (レス) id: 0257840ab5 (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - かよさん» 初めまして!コメントありがとうございます(//∇//)最後まで楽しく読んでもらえてホッとしています笑いつ再開するかまだ分かっていませんが、再開したらまたいらっしゃってください(^^) こちらこそご愛読ありがとうございました! (2018年6月17日 20時) (レス) id: 0257840ab5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まりも | 作成日時:2018年4月4日 23時