夏ときみの声と (Daiki＆Yuri) 2

90 ページ40

***









真実を知ったとき…

今度ママに会ったら、サヨナラしようと決めていた。









これ以上ママにすがりついてたら前に進めない。









17年も育ててくれたママと

こんな形でお別れするのは嫌だけど…









.









「ママ…」









.









あの頃から変わらない、白い顔。

あの頃から動かない、身体。









.









この人と、ママと本当のお母さんは、

ずっと幼馴染みだったんだ。









ずっと一緒にいて、

誰よりもお互いのことを理解していて助け合って…









それは、本当のお母さんが亡くなったときも

そうだったと思う…









.









だけど、私たちはママに甘えすぎていた。









そのせいで、ママは

人形のように動かなくなってしまった…









私はその人形のようなママに、頭を下げた。









.









「…あのときはワガママばっかり言ってごめんね。

そして、今まで私を育ててくれて、ありがとう…」









.









やっと、謝ることが出来た……

お礼も、言えた…









それらの言葉を口にすると、

押し込んでたものがぐっとこみ上がる。









.









もし、ママが起きていたなら

優しい言葉をかけてくれてたと思う。









泣いてくれてたと思う。









.









「早織…」









.









だけど、ココには私以外にこの人しかいない…

私は、もう一度彼の方に向いて言葉を投げた。









.









「……私はもうアナタに会いたくないけど、

これからは、ママには会ってあげて…」









「え……」









.









「……っ、お願いします。」









.









本当はこの人に頭を下げたくはなかったけれど

これ以上、この人には逃げて欲しくなかったから…









.









「バイバイ、ママ…」









.









ママに最後のお別れを言って、私は病室の外に出た。









.









大貴「後悔してない?」









.









ここから中の会話が聞こえていたのかな。

病室の外、気まずそうに大貴は聞いた。









***

91→←89

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す