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***
侑李「なにそれ……」
.
目を見開く侑李。
ベッドの上に座ってる私の目線に合わせて、
少し屈んだ。
.
侑李「で、も…そんなの
水城のおじさんが言ってるだけでしょ。
ちゃんと確認した訳でもないし…」
.
動揺しているのか、
侑李の瞬きの回数が多くなる。
それでも、慎重に言葉を選びながら
ゆっくり聞いてくれる侑李……
.
「…確認、したよ。」
侑李「したって、どうやって…!」
.
「昨日…病院に行って
あの人に…母方の祖母に聞いた…」
侑李「え…」
.
“あら。あなた、まだ知らなかったのね”
“とっくに知ってると思ってたけど、その手紙の通りよ”
.
“仕事のトラブルで借金を背負ってしまったあなたの父親は
何の関係もない早織にあなたを託して、行方不明になったわ”
.
“それ以来、早織は子育てで
ノイローゼになってしまって…”
“しかも、今更になって、父親が現れるなんてね“
.
“親子揃って本当に……”
.
大貴「なんだよそれ…
Aは何も悪くないだろ。」
.
泣いている私の肩を掴む大きな手。
大貴の両手が伸びてきて、後ろで重なった。
.
大貴「意味わかんねーよ…!」
.
大貴の声も、腕も震えている。
.
大貴「辛かったよな……
母親がそんな事になって声が出なくなったり、
昔も今も、婆さんに責められたりして…
ましてや、今更になって
そんな事実も突きつけられて…」
.
ううん、と首を振る。
耳元で響く、大好きな大貴の声に涙がまた流れ出して
目の前にあるシャツが静かに濡れていく。
.
「…っ、他にも、言われた。」
大貴「…何て言われた?」
.
「声が汚いって…」
大貴「は……」
.
“あなたの声って耳障りがするのね”
“早織に聞かせたくないわ”
.
大貴のシャツをぎゅうっと強く握ったせいで
シャツにシワができてしまう。
.
「大貴……」
大貴「ん…?」
.
「私……声なんか出ない方が
良かったかもしれない。」
***
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まりも(プロフ) - 菜子さん» 読んでくださり、ありがとうございます。このお話が菜子さんの心に残ったようで…そう言ってくださってとても嬉しいです。伊野ちゃんメイン残ってお話、、検討しておきます 笑これからもどうぞよろしくお願いします。 (2019年1月19日 20時) (レス) id: aaad2f0c31 (このIDを非表示/違反報告)
菜子(プロフ) - まりもさんの作品をはじめて読ませて頂きました。読んでいて本当に心が温まるし、作品を作ったことのない私はいつか、まりもさんのように読んでいて気持ちが和むような作品を作りたいと思えました。これからも楽しみにしています!!伊野尾くんメインの作品お願いします (2019年1月13日 19時) (レス) id: f717513e5e (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - きんぐとるさん» ありがとうございます(o^^o)声が出ないという設定はどう書けばいいかとずっと考えていたので嬉しいです!ありがとうございます!笑いつ再開するかまだ分かっていませんが、書くときはまたお付き合いください。 (2018年6月17日 20時) (レス) id: 0257840ab5 (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - ひー☆さん» ありがとうございます!書き始めたときから読んでくださっていて光栄です!ありちね担のひー☆さんに満足して頂けて良かったです!ありちねメインのお話、是非検討させていただきます!こちらこそご愛読ありがとうございました! (2018年6月17日 20時) (レス) id: 0257840ab5 (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - かよさん» 初めまして!コメントありがとうございます(//∇//)最後まで楽しく読んでもらえてホッとしています笑いつ再開するかまだ分かっていませんが、再開したらまたいらっしゃってください(^^) こちらこそご愛読ありがとうございました! (2018年6月17日 20時) (レス) id: 0257840ab5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まりも | 作成日時:2018年4月4日 23時