夏ときみの声と (Daiki＆Yuri)

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侑李と歩く散歩道。









外はいつもより涼しいけどやっぱり暑くて、

目の奥が痛いほど。









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普段の侑李からして、外に出るのはやっぱり珍しいし、

何の用事だったんだろ…?









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私はボードに文字を書いて

クイッと侑李のシャツを引っ張る。









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『用事って何だったの?』









侑李「あぁ、人と会う約束してたの。」









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え……

それって、私も一緒にいて大丈夫なの?









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侑李「…そいつ、うるさいけど人懐っこいし、明るいし。

Aがいても問題ないと思うし。」









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私の考えを読み取ってか、侑李はそう言った。

そして私の顔を見て、笑った。









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侑李「だから安心しなよ、何かあったら僕がいるから。

ほら、あそこ。」









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そう言って侑李が指した方向。









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少しずつ、ゆっくりと頭を上げると

男の人の影のシルエットが見えた。









そして、そのシルエットには、

見覚えがあった。









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侑李「僕の幼馴染みで、高校の先輩。」









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正直、この先会うことなんてないと思ってた。

会いたかったけど、会いたくなかった。









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侑李「どうしたの?」









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私が立ち止まると侑李も立ち止まった。









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侑李「A?」









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だって、何も言わずにお別れしたから。

貴方が好きだと言ってくれた声はもう出ないから。









貴方が知ってる私はもういないから……









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男の人は私たちに気づくと、駆け足でやってきて

途中からゆっくりとなって。









一歩、一歩とこちらに近き、

私たちの目の前で止まった。









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「知念……」









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あの頃より少し低いけど、

変わらない懐かしい声……









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“彼“は侑李の名前を言って、

そして、私の顔を見て言ったんだ。









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大貴「……久しぶり、A。」









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あの頃と変わらない、優しい声で____……









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