夏ときみの声と (Daiki＆Yuri)

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先生の連絡事項が終わって

生徒がぞろぞろと教室から出る。









私も置いていかれないようにと

慌てて廊下に出ようとしたらポンと肩を叩かれた。









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「ねぇ、あんた本当に声出ないの?」









.









制服の袖を捲ったショートヘアの女の子。









突然の質問に戸惑ってると、どうなの?と再度聞かれて

慌てて頷く。









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「ふーん。」









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素っ気ない返事。

聞いてきたのに興味ないような感じで…









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前を見ると、侑李は人ごみに紛れて

見えなくなってしまっていた。









クラスメイトもジロジロと見ながら

通り過ぎて行って、どんどん追い抜いて行く。









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このままはぐれてまた迷子になって迷惑かけるのも嫌だし

もう行っていいかな…









彼女に少し頭を下げて

そのまま行こうとする……









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「ねぇ、話まだ終わってないよ。」









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また後ろから話しかけられて振り向く。









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「あんたと話すとき、どうしたらいいの?

耳は聞こえてるんだよね?」









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ど、どうしよう…









いつもならボードに文字を書いてコミュニケーションを取るけど、

初めての人だと変な子だと思われるかもしれない。









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ん?と首を傾げる彼女。

チラチラと人の視線を感じる。









とにかく落ち着こう。

落ち着け、落ち着け……









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「…っ。」









.









いつものボードは教室に置いてきたから

スマホを取り出して急いで文字を打つ。









そして彼女にスマホを渡した。









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『普段はボードで会話してるの。

良かったらあなたの名前教えて…』









.









スマホに書かれた文字を読む彼女。









そしてそのまま私のスマホに何やら打ち込んで

はい、と返された。









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見てみると、漢字で

『山下夏菜』と書かれていて。









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夏菜「私の名前は山下夏菜(やましたなつな)。

ほとんどの子は夏菜って呼ぶよ。









よろしく、A。」









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