夏ときみの声と (Daiki＆Yuri)

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そんな日から数日経ったけど

あれから大貴と会うことはなかったし、









侑李も、私と大貴のことについて

聞くことはなかった。









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何もなくて、ただただ暑い。

だけど気持ちは穏やか。









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平和だなぁ……









呑気にそう思いながらスマホでゲームをしていると

夜ご飯を作ってたおばさんがあっ、と声を上げた。









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「お醤油切れてるじゃない。」









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そう言って戸棚の中を開けたり、

作りかけの料理を見てため息をつくおばさん…









困ってる…よね。









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私はいつものようにボードに文字を書いて

おばさんの肩をとん、と叩く。









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『お醤油、買ってきましょうか?』









「え、いいの?」









『私でよければ!』









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ボードを見たおばさんは

ぱっと顔が明るくなる。









そして財布の中から数枚のお札を取り出し、

私に、はい、と渡した。









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「いつも使ってるお醤油なんだけど分かるかな?

余ったお金はあげるからお菓子でも何でも買っておいで。」









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おばさんの言葉に2回頷いて

お札を自分の財布に入れて、家を出る。









外は前に侑李と散歩に行ったときより暑くて

灼熱の太陽が容赦なく辺りを照らしていた。









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やっぱり暑いなぁ…

帽子かなにか被ってくればよかったかも。









そんなことを思いながら、少し後悔……

でも外に出ちゃったし仕方ないよね。









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何度か行ったことがあるスーパーまでの道を

頭の中で想像させて、分かれ道で右に曲がる。









そしてそのまま真っ直ぐ行って

信号を渡ればスーパー…









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の、ハズだったのに。









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「ねぇ、こんなところで何やってるの?」

「暇だったら俺らと遊ばない?」









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私の周りには信号機や横断歩道、

スーパーの建物なんてなくて……









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何でこうなったのだろう…









周りにいたのは侑李と同じ制服を着た同い年ぐらいの子たちと

来たことない、路地裏みたいな場所だった。









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