カラフル (ページ4)

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彼女との再会は思いがけずやってきた。しかも、あっという間に。

僕が店にキャップを忘れてきたのである。

閉店後、片付けをしていた時にAさんが見つけてくれたようで。ドームでの練習前、車で店まで取りに行った。

『お忙しい中来て下さってありがとうございます』

「いえ、僕こそ忘れてしまって」

忘れ物を取りに行っただけ。だから、交わす言葉数も少なくて。

折角会えたんだからもう少し話したい。でも、何て言えばいいか分からない僕は口篭ってしまう。

そんな僕を見て、Aさんは不思議そうに、

『あの、どうかされましたか』

「また、」

『え？』

「また来てもいいですか」

『あ、はい！勿論です。お待ちしております』

今思えば変な質問だったと思う。
でも、Aさんが優しく受け入れてくれたことが嬉しかった。

練習後、由伸さんにお礼を言いに行った。
キャップを取りに行けたのも、お店から由伸さんに連絡があって、それを僕に伝えてくれたから。

「お、取りに行った？」

「はい、ありがとうございました」

「Aちゃんには会えた？」

「会えました」

今日の緩んだ顔見ればよう分かるけどな、なんて。分かってるなら言わないで下さいよ。
隠しきれてなかったのが恥ずかしい。
顔に出してるつもりは無かったんだけど。

「電話くれたんAちゃんやったんやけどさ、あの子凄いんよ」

「すごい？」

「店入ってきた時にお前が被ってるの見てたから、紅林のって分かったって。その時まだ厨房にいたはずやのに」

よく見てるよな、って。
僕の連絡先が分からなかったから、由伸さんに連絡が行ったそうで。

うーん、かっこいい。
やっぱり僕はAさんが気になって仕方がないようだ。

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