嫌いじゃないけど。 (ページ5)

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その後も、褒めて攻撃が続いた

なんだろう、どことなく、いつもより疲れた気がする
そりゃ、休憩入る度に褒めて褒めて褒めて褒めてって

疲れるのも当然だろう

「ゆーうひっ！一緒に帰ろ！」

「やだ」

どうせ一緒に帰ったところで、褒めて攻撃されるだけなんだから。
なにがなんでも、彼と共に帰るのだけは避けたい

「一緒に帰ろうよぉ～！ねぇー？」

「やだ、なにがあってもやだ。絶対にやだ」

「なんでぇ！！」

「嫌いな奴と一緒に帰る必要性がわからない」

「えっ！勇翔って、タムタムのこと嫌い？？」

え、むしろ自覚なかったのか？なんて。
つーじが昔、つっちーを紙一重で嫌いって言ってた。

俺の場合は、紙一重どころか、かんっっっぜんに大嫌い。

こんな、自分大好き野郎、好きになれるわけがないだろう。

「タムタムはぁ～、勇翔のこと、だーい好きだけどなぁ～」

「そっか、迷惑。じゃーね。」

とりあえず笑顔は向けてやったんだから、感謝してほしい。
好きって言われて、ここまで嬉しくないのは初めてだ。

事務所の駐輪場で、自分の自転車を探す

前に買ったばかりの、そこそこの値段のものだ

いつ雨が降っても濡れないように、一応屋根のある場所にとめたはず

…なのに

「………は？」

無い。朝置いたはずの場所に無い。

誰だ、俺の大切な自転車を動かした奴は
許せない。
盗まれる可能性は低いはず。ちゃんと、二重ロックにしてるんだから。

それでも盗まれたっていうなら、犯人は相当の怪力、ゴリラかなんかだろう。

…どうやって帰ればいいんだ

こうなったら、誰かの家に泊まらせてもらうしかないかな。
とりあえず、メンバーに電話をかけてみる。
豊さんあたりなら、泊めてくれそうな気がするから、真っ先に豊さんに電話をした。

「もしもし…豊さん？」

『あ、ぴんちゃん？どしたー？』

「あの、自転車無くなっちゃって…泊めてください」

『えぇっ！？ぴんちゃんの自転車って、あのかっこいいやつだよね？』

「はい」

かっこいい…かはわからないけど、まぁ、かっこいいやつなんだろう。

『それ、タムタムが乗ってたよ？』

「…は？？」

待て、待て待て待て、タムタムが乗ってただと？

いや、俺の自転車だよ？なんでタムが

てか、ロックどうしたの！？

タム、ヒラメじゃなくてゴリラだったのか