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帰ろっか という言葉は一体なんだったのか
ダーツバーを出て、そのまま近隣の居酒屋へ入った
タムは、強めのお酒を選んで、俺はなんとなくカシスオレンジにしておいた。
いつもなら、もっとビールとか、そういったものを頼むけど、さっき行ったバーの雰囲気に呑まれたのか、お洒落ぶってみた。
「うぅ……ゆぅひぃー!!」
隣の彼は、顔を真っ赤にしている。完全に酔っぱらった状態だ。まだ、一杯しか飲んでいないというのに。
「もう、なに」
「今日よぉ!!俺の列ぅ、人がすくねぇんだよぉ!!」
あぁ、そういえば。
今日の特典会のタムの列は、いつもより短かった気がする。
まぁ、俺の列はその半分にも満たなかったけど
「みぃんな、タムちゃんのこと好きっていっときながら、来てくれねぇんじゃねぇかよぉー!」
うわ、面倒くさ。
ボイメンの中で、お酒関連が面倒くさいのは本田くんってイメージが強いけど、これは越えたな。
そもそも、自分より列が短かった奴にそんなことを相談するなんて、なんかの嫌みなんじゃないのか
「ゆぅひは、タムちゃんのこと好きだよなぁ!」
「あー、はいはい、好き好き」
「はいは1回ぃー!」
「大事なことなので2回言いました」
なんで君はこんなにウザいんだ。
「ほんとに好きぃー?」
「うん、好きです。はい」
適当に返事をして、カシスオレンジを飲む。
あぁ、やっぱり弱いな。普通にビールにすればよかった
チラッとタムの方を見ると、また新しくお酒を頼んでいた。この居酒屋で、いっちばんアルコール度数強いやつ。
それを一口だけ口に含んで、俺の後頭部に手を添えた
「は、ちょ、タムっ」
酔っ払いの彼と、唇が重なる
タムからお酒が移ってきて、本の少し口から溢れる水分の感覚。
逃れようにも、逃れられなかった
少しムカつく、いや、かなりムカつく。
タム、ごめん。いや、自業自得だからな
思いっきり相手の鳩尾にグーパンを決め込んで、テーブルに千円札を置き、店を出た
あいつのことは、大嫌いだ。
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作者名:あお | 作成日時:2017年7月19日 14時