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近くのダーツバーに到着し、タムはさっそくマイダーツを取り出した
結構いいやつなんだぜ!なんて自慢されるけど、残念ながら、全く理解できない
知らない人からしたら、そんなもんだろう
ダーツなんてどれも同じに見えるし、持ち方が云々とか説明されても、やはり理解できなかった
きっと、タムでさえ覚えられるくらいだから、そこまで難しいルールでは無いんだろうけど、あいにく俺は、興味を持ったものにしか関心がわかない
ダーツには、そこまで興味は抱いていなかった
ダーツをやっている時のタムは、本当に真剣で
いつものおちゃらけた彼は、一体どこへ行ったのやら
「勇翔もやってみなよ!タムタムが教えてあげるから!」
「俺はいいよ」
「いいから!えっと、歳上からの命令だよ!」
ボイメン歴でいえば、俺の方が上なんだけどなぁ
とはいえ、年齢は確かにタムの方が上
一回だけだよ、という約束で試しにやってみることにした
「ここをこうやって…あそこを見て…」
俺の手に、自分の手を重ねて、目線などもしっかりと教えてくれる
「よし!これで投げてみて!」
耳元で、そこそこの音量の声を出された
キーンと頭に響いてるが、そのままダーツを投げる
トンっと、特徴的な音をたてて、ダーツの矢が突き刺さる
よくわからないが、タムがすげぇ!と喜んでいるから、きっとすごいんだろう
「勇翔、やっぱ超イケメンだよな」
「まぁ、顔だけはいいからね」
少し目力を強めて、キメ顔をするタム。多分、俺の顔マネでもしてるんだろう
ただ、目力を強めたところで、特有の魚顔が際立つだけだけど。
その顔に思わず吹き出すと、彼はまた、むぅっと頬を膨らませてくる
「タム、これから泳いで帰るの?」
「誰が魚じゃ」
このお決まりの流れに持ち込めて、少し嬉しかったり。
「兄ちゃん達、仲良いねぇ!」
バーでお酒を飲んでるサラリーマンに話しかけられた。
こーゆーのは、タムが大体会話しておいてくれるから楽だ。話しかけられるのが嫌とかじゃないけど、俺は話すのは苦手だからね。
「そーなんですよぉ!付き合って2年目でーす!」
「きもちわるい」
タムのしょうもないジョークに爆笑するサラリーマン。なんていい人なんだろう
俺からしたら、ただひたすらに迷惑なんだけど……
「そろそろ帰ろっか!」
その言葉、ずっと待ってました。
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作者名:あお | 作成日時:2017年7月19日 14時