独占欲 (ページ14)

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"消えてなくなる"

わかっているつもりで、わかっていなかった

いや、わかりたくなかった…の方が正しいか

こんな、目の前で呑気にプリン食ってる奴が、消えてなくなるなんて、信じらんねぇだろ？

「勇翔…」

「んー？」

「なんで、人間に恋したらいかんの？」

消えてなくなるってことより、

この方がわからんかった。

ヴァンパイアが人に恋をすると消える

どう考えてもおかしいだろ

「…昔ね、昔って言っても、今から何千年も前…、ヴァンパイアの暮らす森から追放された、一人のヴァンパイアがいたんだって…」

「ヴァンパイアの暮らす森…」

なんか怖そう。

「そのヴァンパイアは、人の住む村へ降りていった。そこで、一人の女性に出会って、その女性と恋に落ちたの。」

「お、おう…」

「で、そのヴァンパイアは、愛しの女性の血を吸った…、そしたら、その女性は亡くなったの」

「なんで…？」

「たまたま、相性が悪かったのかもね。そんで、その女性の周りの人間が怒って…ヴァンパイアの森を焼いて…っ…」

「焼いたってことは…」

「…その森にいたヴァンパイアは、皆亡くなった…今生きてる、俺みたいなのは、その時偶然森の外にいたヴァンパイアの子孫なんだって…」

いくら、他人のヴァンパイアとはいえ

自分と同じ種族が、人間に消されたとなると…

こんな話させて、ごめん…

大きな罪悪感を感じている俺に反して

勇翔は続けてくれた

「人間の行動を見た神が…すべてはヴァンパイアの責任だって決めて…人とヴァンパイアの関係を裁ちきるために、こーゆー決まりになったんだって」

ヴァンパイアが悪い

そんなことはないだろ

体質の相性なんて、どうしようもねぇし

好きになるのは、自分の勝手のはずだ

ありえない

そんな、そんなくそみてぇな…

「そのヴァンパイアの最期は、本当に無惨な消え方だったって…、体がボロボロになって…すごく苦しくて…」

「勇翔…」

平気そうに見えて、こいつも消えるのは怖いんやな…

俺には、勇翔を抱き締めることしか出来ん

こんな自分がもどかしい

人間ってのは、本当に無力だ