トリップできたので未来を変えます。4【ONE PIECE】 (ページ20)

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76-1 STT(スーパー鍛錬タイム) ページ20

数メートル先にお互いの姿を確認した時、サンジは同時に相手の武器も確認していた

サクラが構えてるのは木刀、間合いを確認しながら踏み込む
接触まで残り3メートル、2メートル……そこで不意に、眼前にいたはずのサクラが姿を消す

___どこだ

横っ飛びにマストの影に転がり込む

サクラの戦法が、速さと予想できない動きを駆使したトリッキーなものなら
サンジの得意とする戦法は、身軽さや、長いリーチのある足技

2人の戦いのフィールドは地上にとどまらない
斜めから後ろ、上から下まで、気は抜けない

先程までいた位置の、その一歩後ろあたりからざっと靴の擦れる音
サンジは振り返るや否や、右手と両足で強く地面を蹴って低い姿勢で走り出す

その瞬間、僅かに見えた影に足を振るが感触はない

直後、背後に気配を感じ、また足を振る勢いで振り向く
振り向いた先、太陽に照らされ逆光の中サクラは居た

既に得物を振りかぶっていて、到底避けられる体勢ではない……が

サクラ「っ……くそっ」

木刀を振り下ろしたはずの先に、サンジがいない
地を思い切り蹴って、後ろへと躱したらしかった

サクラ「(なんて脚力……さすがは、赫足の後継者)」

素直に感心しながら、サクラは体制を起こす

サンジ「ギリギリだった……危ねえ危ねえ」

サンジはそう言いながら薄く笑った

こんなに天気がいい日は、日向ぼっこでもしたいな～……

2人を眺めながら、棍を杖代わりに休憩するAは思った

「腕が鈍るといけないから……なんて、向上心あふれるこって…」

カナリヤ『良いことじゃないか、感心感心』

「私だって、相手が兄さんじゃなかったらもうちょっとやる気でるし…」

疲れた顔でそう言う私の、頭をポンポンと叩きながらカナリヤは笑った

カナリヤ『あっはっはっ！ワタシに勝てた試しがないもんね、Aは』

「～っ………別に元は普通の芸大学生なんだから、戦えないのが当たり前でしょ！」

インドア派なんですこっちは、と付け足したらさらに笑われた
本当、一々気に触るなあこの人

カナリヤ『ふははっ！負けず嫌いなとこあるもんねー』

「………あーぁ、今なら勝てる気がする」

棍を握ってるあたりからミシミシと音が聞こえてくるが、今はどうでもいい

カナリヤ『じゃあそのやる気を、存分に活かそうじゃないか？』

にっこり笑ったカナリヤが少し前に出て大きく息を吸う

カナリヤ『はーい、君たち！そこまで！』

ゴング代わりの兄の声が船に響いた