トリップできたので未来を変えます。4【ONE PIECE】 (ページ11)

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73-1 優しいからページ11

(サクラ視点)

日が落ちてきたらしい、海の向こうがオレンジがかっている

サンジ「……悪りぃな、急に変なこと言って」

気にしないでというつもりで首を振る
それにしても、母親か……

サクラ「………そんなに、似てる？」

突然の質問にえ、と声をもらす男
お姉さんの事？と聞かれ、うんと頷く

サンジ「……んー、そっくりってわけじゃねえけど。
笑った時とか…あと、何かを食ってる時とか……こう、ほわっとな」

手でジェスチャーしながら面影云々と語る隣の男

話を聞く限りではなかなか優しい母親だったらしい
絶対美味しくないであろうお弁当を「おいしい」と笑いながら食べてくれたりだとか…

そうして、しばらく喋るのをじっと聞いていると急にしん…と声が止まった

どうしたのだろうと、また隣をみやると

サクラ「………なんで、泣いて」

サンジ「っ、うるせぇ！」

鼻を赤くさせ、ぽろぽろと涙をこぼす男

思い出し泣き、だろうか
情緒不安定だなこの人

サンジ「っ……くっぅ……」

隣で膝に頭を埋めながら泣かれる

ど、どうしよう
慰めたほうが……待てなんて声かければいいんだ

表情には出てないだろうが、だらだらと変な汗が出てる
つまり焦ってる、いや本当にどうしよう

サンジ「……っ、こんなの、勝手な好意だ。
押し付けても、迷惑なのは……分かってんだ」

今、隣にいるこの男は
多分、自分の母親とあの人を重ねてる

ふと、さっきこの男に避けられた時のあの人の顔が浮かんだ

サクラ「……避けないで、あげて」

サンジ「え？」

サクラ「甘えたほうが、喜ぶ、あの人は」

サンジ「…でも、誰かの代わりなんて…普通嫌だろ」

サクラ「避けるより、いい。それに……」

サンジ「それに？」

鼻をすすりながら、こちらを向く彼
自分も慣れてきたのか、口が回るようになってきた

サクラ「あの人は、昔に絡まってる
少しでも、何かに必要とされたほうが喜ぶから…

例えそれが、誰かの代わりであったとしても」

少しの好意が、あの人には必要だ

サンジ「昔？」

少し悩んだが、話すことにした

サクラ「うん、昔」