73. 懺悔 ページ20
――あれから寮に着くまで、至さんと何も話さなかった。
…話せなかった。
寮に着いて、じゃあまた、と一言だけ残して、至さんは部屋に入って行った。
…足が、震える。
(至さん……)
――返事をした時、至さんは一瞬だけ、すごく悲しげな表情をした。
その顔が、忘れられない。
(…至さん、ごめんなさい)
コンコン、とドアをノックする。
…ドアを開けたのは、兵頭くんだった。
十座「A？」
A「兵頭くん、今、いいかな？」
十座「ああ」
…万里は太一くんと遊びに行ったらしく、部屋にはいなかった。
十座「…で、どうした」
A「あのね、コレ買ってきたの」
さっき買ったガトーショコラを兵頭くんに渡す。
…中身を見ると兵頭くんはパッと顔を輝かせた。
その反応を見て、思わずクスッと笑ってしまう。
A「倒れた時、色々ありがとう。そのお礼」
十座「そうか。…ありがとな」
兵頭くんが優しく笑う。
A「…私、兵頭くんに伝えなきゃいけないことがある」
十座「何だ？」
…少し大きく息を吸う。
A「…私、兵頭くんの気持ちには、応えられない」
――その言葉で、場が静まりかえる。
目を逸らさず、ただ、お互いを見つめる。
A「…私が倒れたあの時、兵頭くんのこと、思い出したの。……ごめんなさい」
深く、頭を下げた。
――兵頭くんの顔が見れない。
…ずっと私の近くにいて、話を聞いてくれて、助けてくれた、大切な人。
でも、私は―――……
十座「…顔上げろ」
…その言葉でゆっくり顔を上げ、兵頭くんと目を合わせる。
……兵頭くんは、僅かに微笑んだ。
十座「Aなら、そう言うって分かってた。…困らせて、悪かった」
A「…本当に、ごめんなさい」
十座「Aは悪くねぇ。…フラレたのに、記憶無くした今ならって思って、そこにつけ込んだオレが悪い」
A「そんなこと…」
――兵頭くんがくしゃっと頭を撫でた。
十座「…返事、ありがとな」
…優しく微笑まれ、涙がこぼれそうになる。
――ダメだ。ここで泣くのは反則だ。
A「…また、今までみたいに話してくれる？」
十座「ああ。…オレの方こそ、よろしく」
――兵頭くんは、最後まで優しかった。
(ありがとう…そして……ごめんなさい)
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Mina(プロフ) - 姫林檎さん» ひめりんごさん！嬉しいお言葉ありがとうございます！( .. ) 亀更新ですみません…(泣) これからもがんばります(^^♪ (2017年10月28日 9時) (
レス) id: da5037e298 (このIDを非表示/違反報告)
姫林檎 - Mina様初めましてひめりんごと申します。毎度毎度更新させれるのを楽しみにしていますヾ(●´∇｀●)これからも頑張ってください！ (2017年10月28日 1時) (レス) id: 30815a9d4d (このIDを非表示/違反報告)
Mina(プロフ) - pineさん» すみません！外しておきますね。ご指摘ありがとうございます！ (2017年9月7日 17時) (レス) id: da5037e298 (このIDを非表示/違反報告)
pine(プロフ) - オリフラ外してくださいね (2017年9月7日 6時) (レス) id: 3bc5a1844b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Mina | 作成日時：2017年9月7日 1時
