白髪赤目の893に拾われた話【ヒプマイ】 (ページ5)

今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:11,733 hit

#04 ページ5

左馬刻side

気付いたら1本を吸いきってしまっていて、ベランダからリビングへ戻ると、ソファーに寄り添う形で抱えた膝に顔を埋めてるAが目に入った。･･･寝てんのか？

近くに寄って耳を澄ますと小さな寝息が聞こえた。

ソファーに寝転がることもせず、息を潜めて。

もう身を守らなくてはいけないような人間はいないのに静かに眠るコイツに、自分でも理解できない感情が出てきて、誤魔化すように傍にあった毛布を引っ掴んで少し荒くAにかけた。

次の日の朝。

Aだけを床に雑魚寝させて1人だけベッドで寝るのは気が引けたため、俺もソファーで寝ていた。
8時に設定したアラームに起こされて、首をボキボキ鳴らしながら昨日と同じ体勢のAに声をかける。

『起きろ』

少し身動ぎしたあとのっそりと顔を起こした。まだ目が開いてないな。寝ぼけてるわ。

弱く頬を叩きながらもう一度声をかける。

『おいA』

「･･･ん」

『9時前に出る。着替えて準備しとけ』

昨日のうちに出しておいた服の替えを座ってるAの横に置き、自分も起きて洗面所へ行く。

軽く飯を食ってちょっとした会話を交わしながら時間を潰せば、時計は8時半を示していた。

『そろそろ行くぞ』

「うん」

アパートを出て徒歩で20分程。舎弟との待ち合わせに指定した公園へ着いた。