80 大我side ページ31
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赤く点滅するランプが街を照らしだして、救急車がきたことを知らせる。
いつもなら、少しうるさいなと思う救急車の音も、今では何も聞こえない。
俺はひたすらAの顔を見て、頬に手を当てて温めてあげることしかできないんだ。
……なんで、こんなことに…っ。
……ごめんね、A。
俺が、いけないんだ。
俺が、ちゃんとAのこと、考えて行動しなきゃいけなかったんだ。
苦しい思いさせて……本当にごめん。
「救急救命士です、聞こえますかッ!」
ドラマでもよく見かける、医者が走って患者に駆け寄るシーン。
まさに、そんな感じで彼女に4〜5人の救命士が近寄る。
俺の腕の中にいたAは、気づいたら離れられていて、救命士の手によってその場で診療が始まった。
…
そこからの記憶は正直無い。
あっという間にAは救急車に乗せられて、遠くの病院へ行ってしまった。
塾長「京本先生、今から僕が病院へ付き添いますから、午後の授業に備えてしっかり準備お願いします。」
気づいたら隣に塾長がいて、俺と違って冷静で物事を捉えていた。
大我「…いや、でもっ」
Aは教え子だから俺がついて行きます。
そう言おうと思ったのに、塾長によってその言葉はすぐ掻き消される。
塾長「あなたは、先生だから。Aちゃんだけじゃない多くの生徒の先生なんだよ。1人の生徒のために他の生徒を犠牲にすることはできません。午後から自習室の巡回をお願いします」
塾長の言うことは正論だった。
俺は、先生。
Aの彼氏っていう肩書きは通用しないんだ。
大我「………分かりました」
塾長「こっちは安心して。自習室には数人の生徒が勉強しているから、サポートしっかり頼みますよ」
そう言うと俺の肩を叩いて、塾長はその場から去る。
今の俺がしなきゃいけないことは、Aの心配じゃなくて、皆の成績をあげること。
頭の中が混乱したまま、自習室に向かった。
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作者です。
大我sideは後少しで終わらせて、話の展開を進めていきます。
今はまだお話の真ん中、前半戦の終盤といったところでしょうか。
まだまだ連載していくのでお待ちください♪
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りこ - すごい面白いです!また交換していただけると嬉しいです (2020年4月27日 9時) (レス) id: 4d62ada711 (このIDを非表示/違反報告)
みな(プロフ) - 更新楽しみにしてます!! (2019年9月7日 0時) (レス) id: dc867d738f (このIDを非表示/違反報告)
みーちゃん。 - とても、面白いです。更新待ってます。 (2019年8月4日 8時) (レス) id: 94770c9e14 (このIDを非表示/違反報告)
なつみかん。(プロフ) - annintamtamさん» コメントありがとうございます!今後も楽しんでいただけるように頑張ります!!! (2019年7月20日 11時) (レス) id: c0f86098d8 (このIDを非表示/違反報告)
なつみかん。(プロフ) - ゆなさん» コメントありがとうございます!大好きだなんて、嬉しくてにやにやしちゃいますっ笑 頑張りますので応援よろしくお願いします♪ (2019年7月20日 11時) (レス) id: c0f86098d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なつみかん00 | 作成日時:2019年7月6日 19時