79 大我side ページ30
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合宿3日目。
今日はAとの個別授業の日。
…正直、今は会いたくない。
会ったら自分の感情を抑えられるか分からないから。
Aの待つ教室の前に立って、俺は深呼吸してから部屋に入る。
大我「ごめん、お待たせ」
なるべく、私語はしないようにして、すぐに宿題を出すように指示をする。
少し悲しそうな顔をするAの横顔を見て、心が詰まった思いになるのを必死に抑える。
彼女は宿題を出すと、俺が指定した範囲よりも多めにやってきていることに気づく。
大我「……これ全部やったの?」
そう聞いて、彼女の顔を見ると、元々色白なのにそれよりも顔が真っ白で目の下にはクマがあった。
……寝てないのかな。
彼女は、今にも眠りだしそうな雰囲気で首をこくん、と縦に頷く。
結局、Aの聞き間違えで20ページも多く宿題をこなしていた。
しかも、Aの苦手な範囲なはず。
だけど、ほぼ完璧にこなされている宿題の紙を2度見する。
大我「…でも、だいたい合ってる」
驚いた、あんなに苦手意識のある範囲なのに彼女の答えはほぼ完璧に近い。
いつもなら、今すぐ抱きしめて喜びたいのに。
俺はその気持ちも押し殺す。
...
それから授業を進めて、午前の授業が終わる。
俺が食堂に行ってきていいよ、と彼女に伝えると、やっぱり少し寂しそうな顔を見せる。
…ごめんA。
今の俺には何もできない。
彼女はふらっと席を立つ。
俺はじっと目を閉じて下を向く。
……俺って、情けなすぎる。
色んなことを思い返していると、隣で不吉な音がする。
バタンッ
目を開けて、隣を見るとさっきまで立っていたAが横になって倒れていた。
大我「Aっ…、」
彼女にすぐ駆け寄って、体を抱き抱える。
彼女の顔はさっき見た時よりも真っ白で、綺麗な顔をしていたまま目を開けない。
大我「Aっ、A!」
俺はそっと彼女を頬に手をあてるとひやっとして冷たかった。
こんな時は焦ってはいけない。
分かっていたけど、大切な人がいざこうなると人間って冷静でいられなくなる。
俺は携帯で近くの病院に電話しつつ、Aを抱き抱えて外の玄関まで行く。
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りこ - すごい面白いです!また交換していただけると嬉しいです (2020年4月27日 9時) (レス) id: 4d62ada711 (このIDを非表示/違反報告)
みな(プロフ) - 更新楽しみにしてます!! (2019年9月7日 0時) (レス) id: dc867d738f (このIDを非表示/違反報告)
みーちゃん。 - とても、面白いです。更新待ってます。 (2019年8月4日 8時) (レス) id: 94770c9e14 (このIDを非表示/違反報告)
なつみかん。(プロフ) - annintamtamさん» コメントありがとうございます!今後も楽しんでいただけるように頑張ります!!! (2019年7月20日 11時) (レス) id: c0f86098d8 (このIDを非表示/違反報告)
なつみかん。(プロフ) - ゆなさん» コメントありがとうございます!大好きだなんて、嬉しくてにやにやしちゃいますっ笑 頑張りますので応援よろしくお願いします♪ (2019年7月20日 11時) (レス) id: c0f86098d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なつみかん00 | 作成日時:2019年7月6日 19時