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私は無我夢中で走った。
ここがどこかも分からないけど、一刻も早く遠くに行かなきゃ、その一心で走り続けていた。
私たちが離れ離れになっても花火は止まることなく、さっきよりも綺麗に上がっている。
「花火綺麗〜〜」
「浴衣姿の方が綺麗だよっ」
「えっそんな〜」
大勢のカップルが足を止めて花火を見ているのに、私の足は止まることなく、むしろスピードがどんどん上がっていく。
…早く、この場から逃げなきゃっ。
その瞬間。
『……っ、痛っ』
周りはとても暗く、視界が見えづらくて石につまずいて、派手に転んでしまった。
…もう、最悪。
膝から切り傷が見える。
立ち止まることなんて、許されないのに。
……いつまでこんな、こそこそしていなきゃいけないんだろう。
色んなことを考えながら、目に涙が溜まる。
どうして、私は普通の人達のように大好きな彼氏と花火を見れないんだろ。
どうして、今隣にいないんだろ。
どうして、好きになったのが先生なんだろ。
今まで溜まってきたものが一気に溢れだしてしまった。
足首も捻ってしまって、立ち上がることも出来ずにその場にぼーっと座っていた。
周りの人達は花火に夢中で私のことなんて、誰も気にしていなかった。
その時、
「A？」
私の名前を呼ぶ声がした。
………でも、私の大好きな人の声じゃない。
「……A、何してんだよっ、」
『……樹、』
樹「転んだのか？……立てる？」
私が首を横に振る。
樹「ったく、しょーがねえな。おんぶする？」
小さい頃もよく、私が怪我したら樹はすぐにおんぶしてくれる。
『…ぅん』
きっと、こんな姿を大我に見られたら、樹は処刑されてしまうだろう。
でも、今は誰かの優しさに自惚れていたかった。
樹は私をおんぶしてくれて、何も言わずに人から離れたところに向かってくれた。
樹「あーあ、花火もう終盤じゃん」
樹はそんなことを言いながら、空き地のような駐車場で私をおろしてくれた。
『…あれ、ハナ達といなかったの？』
樹「あのなぁ、俺だって人間だから、空気くらい読むわ。」
『え？』
樹「北斗のために二人きりにしてやった、」
『えっ、そうなの？』
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なつみかん。(プロフ) - ひまわりさん» コメントありがとうございます！文章を褒めてくださるの初めてで凄く嬉しいです。もっと更新できるように頑張ります！ (2019年6月21日 0時) (
レス) id: c0f86098d8 (このIDを非表示/違反報告)
ひまわり(プロフ) - 文章が綺麗でとても好きです。更新楽しみにしています...！ (2019年6月20日 15時) (レス) id: 7242c34cf9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なつみかん00 | 作成日時：2019年6月18日 0時
