episode８ ページ8
ある日、赤い龍をあしらった船首の船には、二つの大きな声――喧嘩のような声が響き渡っていた。
｢なんで私は連れてってくれないの!?｣
｢いや、今回ばかりはホントにあぶねぇんだよ！いくらAでもガキにゃあ耐えきれねぇ!!｣
｢やだ、やだ！私絶対行くから!!!｣
｢バカヤロー！
死にたくなけりゃ船には乗るな!!｣
｢私はどうせいつ死んだっていい人間なの!!｣
Aは大声を張り上げて言う。
その声が響き渡り、同時に周りの声がしずまった。
｢……っテメェ……!!｣
シャンクスがそれを聞き、怒りをあらわにする。
Aは怒ったシャンクスを見て一瞬怯むも、すぐに反抗するような目つきを見せる。
まるで、「私の言っていることは正しい」とでも言うかのように。
だが、その眼光の鋭さの中に、どこか悲しそうな感情も見え隠れしているようにも見える。
｢っお、お頭ぁ！あれからまだ半年しか経ってねぇんだ、傷が癒えてねぇのは当然のこと！な!?｣
｢少し熱くなりすぎたな、二人共。
ゆっくり頭冷やせ。
……で、Aは勿論連れてけねぇな｣
ルウと副船長のベン・ベックマンが止めに入る。
シャンクスは落ち着きを取り戻したが、Aは未だに納得が行かないようだった。
｢……っどうして、私がついて行っちゃダメなの？｣
｢……｣
Aはその目に涙をためながらいった。
｢……せっかく、一緒にいて楽しい人ができたのに……
……生まれて、初めて｣
皆が黙ってAの言葉を聞く。
｢なんで？皆私の事が重荷になった？迷惑？
……正直こんな有力な海賊団にたった12の子供がいても足でまといでしかないよね……
……っ!!……邪魔でしかないよね……!!｣
鼻を啜る音が悲しく聞こえる。
とうとう座り込んで泣いてしまったAのそばに、シャンクスがかがみ込む。
｢いいかA、よく聞け｣
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作者名：ここなっつ x他1人 | 作成日時：2016年7月5日 17時
