【ワンピース】Today is windy day【サボ】 (ページ18)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:10,002 hit

episode18 ページ18

ピリリ、と張り詰まった空気が部屋の中を支配する。

その緊張しきった空気の中、おもむろに口を開いたのは顔の半分に大きくタトゥーが入った、黒いコートのフードを深くかぶった男――ドラゴンだった。

「新聞は読んだか？」

その問いかけに、ある者は神妙な頷き、ある者は何のことだと首を傾げた。
Aは何も知らないまま、ドラゴンの方を向いた。
コアラも新聞をまだ読んでいないのか、不思議そうな表情で佇んでいる。

「まだ読んでいない奴もいるだろうが、話をしておく。ビッグニュースだ。
いいか、よく聞け。白ひげのトコの『火拳』が海軍に捕まった」

ざわわ、と室内が一瞬ざわめきに吞まれる。
ドラゴンが再び言葉を発しようと口を開くまでの一瞬でざわめきは収まったものの、Aもコアラも驚いた表情で顔を見合わせている。

なにより、Aはドラゴンの口からでた「火拳」の名に、とてつもない不安と心配――そんなありふれた言葉では表せないような気持ちに支配されていた。
心臓が大きく波打ち、なんとも言い難い嫌な予感を纏ってずしりとその重みを感じさせる。
ただ立っているだけなのに息苦しさを感じ、自然とAの息は上がっていた。

「ここからが本題だ。
……馬鹿なことに海軍は、奴の公開処刑を発表した！今日の第一面にでかでかと載ってる。
下手をすれば海軍と白ひげ海賊団の全面戦争になりかねない」

Aは震える脚で必死に立っていた。
ずきずきと痛む頭で、ドラゴンや新聞の言う「火拳」が自分のよく知る彼でないことを祈った。
「白ひげ海賊団の火拳」が彼一人しかいないということくらい分かっているのに。

「時代が……変わる」

後に起こるであろうまだ名のないこの大事件が、革命軍にも関係してくるかもしれない。

ドラゴンがそう告げ、解散を促す。
わらわらと他が帰っていく中で、Aはふらつく足取りで彼を探した。

記憶が戻る前にこれが"現実"になってしまってはいけない、と。