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episode14 ページ14
その声の正体は――マキノ。
「A、やめて、お願い」
目を涙で潤ませながら、マキノはAに語り掛ける。
静かな森にマキノの荒い呼吸が響く。相当必死になってAを探していたのだろう。
一方、Aは表情一つ変えず少年に向けていた目線をマキノに向ける。
普段…今までマキノに見せたことのないような冷たい目線に、マキノは少し後ずさる。
「A……いま、怖い顔してる…
すごく、…すごく怖い」
喉からか細く絞り出されたマキノの声は震えている。
「やだ、A、戦わないで…
……A、戻ってきて…っ」
「……マキノ」
少女の口から、マキノ、という名前が零れる。
「……私、もうフーシャ村には戻らない気でいるから」
ポタリ。
静かに響く水音。
「A…?」
「私、あの村には行かない。二度と」
揺るがない瞳。
固く閉じた口。
マキノはAが本気でそう思っていることを確信した。
「……っ!
ど、うして？」
ためらいがちに尋ねるマキノに、Aは冷たく、どこか悲しそうに首を振った。
「…私みたいなニンゲンには……あの村にいる資格がないの」
「どうしてっ…」
マキノとは正反対に、Aの表情は最後まで変わることはなかった。
「ごめんね、マキノ。
…ルフィと一緒に、帰ってくれる？」
そして、Aは少し不機嫌に見える少年に視線を戻した。
「……さよなら」
フン、と少年が鼻を鳴らした直後、くるりと方向を変えて走り出すマキノの背後で――
戦いが始まった。
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作者名：ここなっつ x他1人 | 作成日時：2016年7月5日 17時
