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山田side
「…は、?」
裕翔のまさかの言葉と、大ちゃんの掠れ声。
俺は裕翔の口からそんな言葉が出てくると思わなくて裕翔を見続ける。
周りのみんなも、裕翔を驚いたような目で見ているんじゃないのか。
裕翔、と震えた大ちゃんの声は消えていきそうなぐらい小さかった。
「裕翔、それ、どういうことだよ…?」
「もしかしたらいるかもしれないのに、そんな誰もやってないなんか言ったら疑うに決まってる…」
「だって俺はっ…誰も、この中には絶対バラすやつなんていないと思ってっ、」
「それが俺には怪しすぎるんだって!!」
裕翔の強気の言葉に、誰もがまた驚いた。あの薮ちゃんでさえも目を丸くしていた。
「…大ちゃんなんでしょ?」
「裕翔、」
大ちゃんと確定させる裕翔に声をかけたが聞いて貰えそうにない。俺の事なんて眼中になさそうだった。
本当に俺が今止めてるやつは昨日一緒に帰った裕翔なのか。
どうしよう、どうすればこの場を直せる。
沢山の考えが頭をぐるぐると回る。
「それと、いのちゃんだって資料置いてくるとき、普通あんなに遅くならないよね?」
「それは、」
「そのときにボスかその仲間とかに言ってたとか。」
「裕翔っ、もうやめろって…!」
裕翔がここまでなるなんておかしい。急いで止めた。
なんでここまで確定させたがるんだ。大ちゃんも伊野尾ちゃんも、やってないに決まってる…
「裕翔なんじゃないの?」
その時、今度は裕翔を確定させるような口調で誰かが言った。俺は顔を上げる。目線の先は伊野尾ちゃんだった。
「いのお、ちゃん…?」
俺の声は震え、さっきまで大ちゃんを疑っていた裕翔の目は揺らいでいた。
「大ちゃんを確定させるにしたって、ただ皆を庇うのがおかしいってだけの条件…でも、裕翔にも条件はある。」
「え…」
「俺は確かに機密情報持ってたから怪しまれるだろうけど、俺は普通に遅れただけ。だとすれば、誰があの機密情報を見ながらボスに伝えられるっていうのが謎だよね?」
伊野尾ちゃんがつらつらと文字を並べて言う。何を言い出すのかが怖くて仕方がなかった。
「皆、見ながら言う以外に、人間はもう1つ、あることをすれば言えるんだよ。」
伊野尾ちゃんの言葉に誰しもが訳の分からないという顔をしていた。
「あることっていうのは、まぁ記憶を覚えとけば言えたりできるよね?」
確かに、ちゃんと内容を覚えてれば言えることはある。スピーチの時だってそう覚えて、本番は見ないでいけた。
でも、…それって…
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デカリュク(プロフ) - 山田「ねぇ待って、高校生が武器持っちゃダメじゃない?」 薮「まぁ、小説の中の話だから」 山田「えぇ…」 (2021年7月24日 21時) (レス) id: 97e8ebb4a5 (このIDを非表示/違反報告)
デカリュク(プロフ) - miomiyuさん» 互いに頑張っていきましょうね…!!私もmiomiyuさんの作品見て元気貰ったりします…!!笑 (2021年6月6日 2時) (レス) id: 97e8ebb4a5 (このIDを非表示/違反報告)
デカリュク(プロフ) - miomiyuさん» これからも週に何回ぐらいの頻度かもですが、よろしくお願いします。いきなりでもとても嬉しかったですよ。miomiyuさんの言葉に何かから救われた気がしました。本当にありがとうございます…!! (2021年6月6日 2時) (レス) id: 97e8ebb4a5 (このIDを非表示/違反報告)
miomiyu(プロフ) - デカリュクさん» 良かったです笑デカリュクさんの作品見て私も作品作り頑張ります!笑 (2021年6月6日 2時) (レス) id: 653723af42 (このIDを非表示/違反報告)
デカリュク(プロフ) - miomiyuさん» miomiyuさん…、ありがとうございます…。なんかコメント見て泣きそうでした…笑 全然綺麗事じゃないですよ。むしろ私にとっての大切なありがたい言葉です。本当に励ましの言葉です。沢山の褒め言葉ありがとうございます…元気出ました。伝えたい事が伝わってきました。 (2021年6月6日 2時) (レス) id: 97e8ebb4a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:デカリュク | 作成日時:2021年4月20日 19時