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山田side
「あとさ、山田なら分かってくれるって、俺信じてるからね。」
雄也の言葉の一つ一つに頭がやられていく。あまり分かってない俺を放って、雄也はあのね、と声を出した。
「俺ね、母さんに見捨てられたんだよ。」
その時、頭の中で回ってた思考が止まった。
…今雄也、なんて言った…?
今の俺の顔は分かってない顔をしてるんだろう。雄也にごめん、と言われてしまった。
「何急に言ってんだよ、ってなっちゃうよね。ごめん。」
俺らしくねぇ、と眉を八の字にして笑う雄也。俺は思考を何とかしてまた回す。
「それ、よりもその事、言っていいの…?雄也のお父さんに言わないで、俺なんかに勝手に言っちゃって…」
「言ったろ?山田は分かってくれると思うし、…親父も、仲間には言っとけって言われてんだ。」
本当に目の前にいるのは雄也か。何度も疑ってしまう。
ポケットに手を突っ込んで片足重心なのはいつもなのに、声も顔も全部が違う人みたいに変わっている目の前の雄也。
「多分、俺の教育が悪かったって思ってんだけどさ。母さんの思い通りにいかなくて、多分俺は見捨てられた。」
雄也は俯いた。前髪が雄也の顔を隠して表情が見えない。
そして少しだけ、声が震えてるのかと思った。
「でも、親父だけは俺を見捨てなかった。こんな言うことを聞かない俺を見捨てないでくれた。…その時から、俺はずっと親父といた。…前、俺が学園を散歩してハンカチ落として焦ったのは、親父が俺にくれたプレゼントだったから。」
確かに前、雄也は俺らの学園でハンカチを落とし、俺が落ちたと報告をすると焦っていたような顔をしていた。
……そういうことだったのか。
目の前で顔を上げまた切なげに笑った。
目尻が少し光っていた。
俺は今、雄也に何を言えばいいんだろう。
何かをいえば、雄也が壊れる気がして、言えなかった。
「そっから男手1つでここまで俺を育ててくれた。…俺の親父凄いだろ」
「……うん、凄い。雄也のお父さん、ホントに頑張ってたんだね…」
「頑張ってるんだよ。今でも。…ありがたいよ。」
声が震えてる。また俯いている。
泣きそうなんだ、雄也は。
「…俺は信じる。雄也のこと。」
そう言うと、雄也はピクっと肩を揺らした。
「雄也のお父さんも、雄也も頑張ってるよ。俺は雄也の出来事を目の前で見たわけじゃないけど、…今でも頑張ってるよ。」
変なこと言ってよな、と考えながら雄也をじっと見る。
すると、山田、と雄也の小さい声で呼ばれる。
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デカリュク(プロフ) - 山田「ねぇ待って、高校生が武器持っちゃダメじゃない?」 薮「まぁ、小説の中の話だから」 山田「えぇ…」 (2021年7月24日 21時) (レス) id: 97e8ebb4a5 (このIDを非表示/違反報告)
デカリュク(プロフ) - miomiyuさん» 互いに頑張っていきましょうね…!!私もmiomiyuさんの作品見て元気貰ったりします…!!笑 (2021年6月6日 2時) (レス) id: 97e8ebb4a5 (このIDを非表示/違反報告)
デカリュク(プロフ) - miomiyuさん» これからも週に何回ぐらいの頻度かもですが、よろしくお願いします。いきなりでもとても嬉しかったですよ。miomiyuさんの言葉に何かから救われた気がしました。本当にありがとうございます…!! (2021年6月6日 2時) (レス) id: 97e8ebb4a5 (このIDを非表示/違反報告)
miomiyu(プロフ) - デカリュクさん» 良かったです笑デカリュクさんの作品見て私も作品作り頑張ります!笑 (2021年6月6日 2時) (レス) id: 653723af42 (このIDを非表示/違反報告)
デカリュク(プロフ) - miomiyuさん» miomiyuさん…、ありがとうございます…。なんかコメント見て泣きそうでした…笑 全然綺麗事じゃないですよ。むしろ私にとっての大切なありがたい言葉です。本当に励ましの言葉です。沢山の褒め言葉ありがとうございます…元気出ました。伝えたい事が伝わってきました。 (2021年6月6日 2時) (レス) id: 97e8ebb4a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:デカリュク | 作成日時:2021年4月20日 19時