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山田side
「俺を助けてくれるのはありがたいんだ…でもやっぱ、申し訳ないなって。やぶのサッカーの夢も、俺が壊しちゃったんだもん。」
やぶのサッカーの夢。
そう言うとゆっくりと目を開き、薮くん達がいる着衣室のドアを見つめる伊野尾ちゃん。
そしてまた口を開いた。
「あと光にも迷惑かけちゃってるな…俺、弱いもん。力とか…自分の精神とか。」
精神と言ってもそこまで俺は弱くないけど、と俺の方を見て口角をゆっくりと上げた。
眉毛は少し八の字だけど。
「俺光に迷惑かけてる、みたいなこと言ったら多分だけど、アイツ絶対首横に振るんと思うんだ。」
軽くふっと、笑う伊野尾ちゃん。
俺は伊野尾ちゃんの言葉をどこかで聞いたような、と思い出す。
そう言えば、と俺が盗み聞きしたあの会話を思い出した。
薮くんと光くんが2人だけで話してたあの会話。
『…それほど俺らが泣かせてるってことか……』
『それいのちゃんに言ったら絶対首横に振るんだろうな。』
光くんと伊野尾ちゃんがほぼ同じことを言っていることに驚きが隠せなくなる。
横に顔を向かせると、ワンテンポ遅く伊野尾ちゃんがこっちを見る。
ん?とした顔で見てきた伊野尾ちゃんに俺は咄嗟に顔を逸らす。
「ねぇ山田、何か俺に言いたいことでもあんの?」
「え、なんで…?」
「だってチラチラ見といて顔逸らすとか絶対何かあんじゃん。言ってみ言ってみ、悪いようにはしないから。」
怪しい笑顔でわざとらしく言う伊野尾ちゃんに何でもないから、とまた顔を逸らす。なんだよ山田のケチー、と後ろから聞こえてくる声は無視する。
「にしても遅くない?やぶたち何話してるわけ?」
「あ、ほんとだ、遅いね…着替えにてこずってんじゃない?」
「そうなのかなー」
そう話しているとちょうどドアが開かれた。薮くんと光くんは着替え終わっていた。
なんだ少し心配した、と思いながら話し合いをしていた部屋まで皆で戻る。
いつの間にか横にいたはずの伊野尾ちゃんは、薮くんと光くんの間に挟まり、歩いていた。
本当に仲良しなんだな、と感じながら遅れながらも歩き出した。
.
「お前らお疲れ様。また集まるときがあるかもしれないが、その時は各リーダーにメールをする。そしてメールが来たか確かめるように。今日は来てくれてありがとな。以上だ。」
薮くんの声に皆が荷物を持って帰っていく。
俺も帰ろうと思いバッグを持つと裕翔に帰ろうと声をかけられる。俺はいつものようにOKして裕翔と一緒に門を出た。
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デカリュク(プロフ) - 山田「ねぇ待って、高校生が武器持っちゃダメじゃない?」 薮「まぁ、小説の中の話だから」 山田「えぇ…」 (2021年7月24日 21時) (レス) id: 97e8ebb4a5 (このIDを非表示/違反報告)
デカリュク(プロフ) - miomiyuさん» 互いに頑張っていきましょうね…!!私もmiomiyuさんの作品見て元気貰ったりします…!!笑 (2021年6月6日 2時) (レス) id: 97e8ebb4a5 (このIDを非表示/違反報告)
デカリュク(プロフ) - miomiyuさん» これからも週に何回ぐらいの頻度かもですが、よろしくお願いします。いきなりでもとても嬉しかったですよ。miomiyuさんの言葉に何かから救われた気がしました。本当にありがとうございます…!! (2021年6月6日 2時) (レス) id: 97e8ebb4a5 (このIDを非表示/違反報告)
miomiyu(プロフ) - デカリュクさん» 良かったです笑デカリュクさんの作品見て私も作品作り頑張ります!笑 (2021年6月6日 2時) (レス) id: 653723af42 (このIDを非表示/違反報告)
デカリュク(プロフ) - miomiyuさん» miomiyuさん…、ありがとうございます…。なんかコメント見て泣きそうでした…笑 全然綺麗事じゃないですよ。むしろ私にとっての大切なありがたい言葉です。本当に励ましの言葉です。沢山の褒め言葉ありがとうございます…元気出ました。伝えたい事が伝わってきました。 (2021年6月6日 2時) (レス) id: 97e8ebb4a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:デカリュク | 作成日時:2021年4月20日 19時