きみはともだち【stm】

っ ページ11

がむしゃらに走って、辿り着いた場所。



A｢…………線路｣



さとみくんに、鈴のキーホルダーをもらった場所。


たぶん、さとみくんはこの線路で。


初めてのお揃いを持った、この場所で。

綺麗な海が見える、この場所で。







鈴の音が空気に染みた気がした。


ちりん、という愛らしい音。



A｢さと、みぃ…くん…っ、ごめ、なさ……っ｣



お揃いのキーホルダーを、
ぎゅっと己の胸に押し付けた。




そのまま、僕の足は


一歩、二歩、三歩………どんどん、電車の通るレールの上へと近付く。



近付いてくる、ガタガタした電車の轟音が心地良かった。




A｢さどみ゛くん゛……っ｣



愛しい君の名前を呼んだ。


｢退けろ！｣と切羽詰まった制止の声が、
私の事を嘲笑ってくれているように思えて心地良い。





口に入ってきた涙の味が、君の味に思えて飲み込んだ。

なんだか頬が痛くなった。

た→←か

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