ただ、それだけ ページ3
………ぱちり。
うたた寝のつもりが、
どうやら寝落ちしていたようで。
目を開いて真っ先に感じたのは、暗すぎる自室への違和感だった。
｢ん゛〜〜、もう夜？？｣
漏れた独り言は、普段よりも低く掠れていた。喉がベタベタして気持ち悪い。
スマホのホーム画面で時刻を確認すれば、既に19時。
悠に、4時間程過ぎていた。
｢夜ご飯食べなきゃ、｣
そうは言ったものの、有言実行する気になれず立ち往生。
寝起きの胃は、食事を受け入れるつもりはないらしい。
こんなんじゃ、ただ痩せ細ってしまう。
コンビニ弁当でいいかなぁ。
そうだ、このことはネタにしよう。
あまりにも不健康な一日を送ってしまったと。
うん、それがいい。
部屋着のまま、テーブルの上の財布と家の鍵だけ手にして玄関へ向かう。
最近買ったばかりの履き心地のいい靴を履けば、顔がほころんだ。
このご時世、きちんと自粛していたから、この靴は自分へのご褒美だ。
｢へへ、やっぱかっこいいな｣
買ってよかった。
鍵を掛けたのを確認し、スキップ気味の足取りで鼻歌を歌う。
行き先はただのコンビニだけれど。
｢ふんふーんふんー、ふんふふふーん、｣
徒歩10分あれば、お目当てのコンビニに着くはず。
目的地へ向かい、歩けど歩けど
日本の都市である東京は、科学で支えられていた。
ふと上を見上げたけれど、星が見えない。
その虚しさに、鼻歌は途切れた。
そこからは無言で歩き、コンビニへと着いた。
コンビニのドアを開けたのは、無機質な自動ドアで。
そんなドアの横のカゴを一つ取って、商品を入れていく。
好きな弁当と、飲み物と、少しだけお菓子も。
会計はちゃちゃっと済ませて、足早に家へ向かう。
何故か分からないけど、走った。
肺が悲鳴を上げるのも構わず、荒い息を吐いて、走った。
＿＿＿何かに、変わって欲しかった。
我が家の玄関で、膝に手を付きながらそんなことを考える。
なにも、変わってなかった。
ただひたすらに、暗闇が……
俺を飲み込もうと、手を伸ばしていた。
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凛(プロフ) - ほんとだ！！！合わせてふんふんしてみたけど感動…！ストプラ選ぶとかりろんちゃん流石です、、！ (2020年8月6日 16時) (
レス) id: 9d7ed73625 (このIDを非表示/違反報告)
りろん@おすし(プロフ) - 凛さん» よかったあ泣泣りんちゃんだけに教えると、コンビニに行くときに歌ってた鼻歌はストプラのサビなの〜！ (2020年8月1日 9時) (レス) id: 09605a57c5 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - りろん@おすしさん» 楽しかったよ、ありがとう！！ところどころ可愛いし最高だった！スニーカーのくだりとか！可愛すぎて… (2020年8月1日 8時) (レス) id: 9d7ed73625 (このIDを非表示/違反報告)
りろん@おすし(プロフ) - めみさん» うわんありがとうございます泣泣いわれてうれしいこといっぱいで、、、泣泣めみさんの小説の発想やセンスにわたしも驚かされています、、、！！すき！ (2020年7月26日 11時) (レス) id: 09605a57c5 (このIDを非表示/違反報告)
めみ - 短編でここまで書けるとは……りろんさんおそるべし。またまた語彙力と文才が盛りだくさんで大好きです。莉犬くんの言動すべてに好きって感じました。(？) (2020年7月26日 9時) (レス) id: 3ccc3a2a71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りろん | 作成日時：2020年7月24日 13時
