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木々が葉を落とす季節になった。
「義勇さん!」
賑わう町の片隅で一人佇む義勇の名を呼んでみる。今日は非番だと聞いていたが、義勇はいつもと同じ隊服を身に纏っていた。逢瀬だからと期待して、いつもより着飾った自分の姿が恥ずかしくなる。
目が合った瞬間、義勇が何か言いたげに口を開いたように見えたが、結局何も言わないまま目を伏せてしまった。何を言おうとしたのか尋ねることはできなかった。
「お忙しいのに、来てくださってありがとうございます。」
「…いや。」
「早速ですけど、行きましょう?」
Aは義勇の手を引いて歩き出した。季節外れの暖かい日差しに包み込まれると不思議と勇気が湧いてきた。
あの日炭次郎に背中を押され、Aはあれから数日も経たないうちに思い切って義勇を逢瀬に誘った。普段人付き合いのない義勇が、わざわざ都合をつけて年頃の娘と逢瀬するというのは極めて珍しいことだと炭次郎から聞いた。それだけで胸がくすぐったくなった。
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仮屋瀬みらい(プロフ) - 凪子さん» 最後までお読みいただきありがとうございました!これからも読者様に大切にしていただける物語を書けるように頑張ります! (2021年8月13日 23時) (レス) id: 78c8cda6bf (このIDを非表示/違反報告)
仮屋瀬みらい(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさんさん» 感想お寄せいただきまして、ありがとうございます!これからも頑張ります ^ ^ (2021年8月13日 23時) (レス) id: 78c8cda6bf (このIDを非表示/違反報告)
仮屋瀬みらい(プロフ) - 莉子さん» 莉子さん!このお話を大切にしてくださってありがとうございました!また新しく義勇さんのお話書きたいなと思っているので暇つぶしにでもお読みいただけたら嬉しいです! (2021年8月13日 22時) (レス) id: 78c8cda6bf (このIDを非表示/違反報告)
仮屋瀬みらい(プロフ) - 伊達巻さん» 伊達巻ちゃん読んでくれてありがとう!そう言ってもらえて嬉しいです( ; _ ; )! (2021年8月13日 22時) (レス) id: 78c8cda6bf (このIDを非表示/違反報告)
凪子(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました。新作、楽しみにしてますね!胸が苦しくなるキュンさがたまりませんでした…泣。 (2021年2月26日 21時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:仮屋瀬みらい | 作成日時:2021年2月17日 18時