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目の前の二人が驚いた顔をする。こんな結末を誰が予想できただろうか。


「…自分だけ幸せになりたいなんて、ずるいでしょ。」


そう呟いた瞬間、大好きだった彼が悲しげに笑う姿が脳裏によぎって、Aは同じように笑い返した。やっぱり黙っておくべきだったかな、と問いかけてみても当然答えは返ってはきてくれなかった。


「そんなこと、言わないでください。」


ふんな声がして俯いた顔を上げると、先刻までただ見ているだけだった炭次郎が自分の目の前で悲しそうに微笑んでいるのに気付く。


「ずるくなんかないです。」


「え?」


「俺はその人じゃないけど、でもその人だったらきっと、Aさんが幸せでいてくれる方が嬉しいはずです。少なくとも俺は、そう思います。」


炭次郎の嘘偽りのない真っ直ぐな瞳がかつての彼のものとぴったり重なって映し出される。彼は優しい人だった。大切な人を守るために自分を犠牲にするような、そんな強くて優しい人だった。どこまでも温かく、優しく笑う炭次郎はどこか彼と似ていると思った。


「だから、本音を大切にしてほしいです。」


「…いいのかな、幸せになりたいって思っても。」


頷きながらふわりと笑う炭次郎の姿に思わず涙が零れてくる。つうっと頬を伝っていく一筋の雫を指で掬い取ると、苦しかった胸が少しだけ解放されたような気がした。


「それに、相手が義勇さんだったらその人もきっと安心してくれると思います。」


いつしか空気は心地良さを取り戻していた。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 冨岡義勇 , 水柱   
作品ジャンル:アニメ
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仮屋瀬みらい(プロフ) - 凪子さん» 最後までお読みいただきありがとうございました!これからも読者様に大切にしていただける物語を書けるように頑張ります! (2021年8月13日 23時) (レス) id: 78c8cda6bf (このIDを非表示/違反報告)
仮屋瀬みらい(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさんさん» 感想お寄せいただきまして、ありがとうございます!これからも頑張ります ^ ^ (2021年8月13日 23時) (レス) id: 78c8cda6bf (このIDを非表示/違反報告)
仮屋瀬みらい(プロフ) - 莉子さん» 莉子さん!このお話を大切にしてくださってありがとうございました!また新しく義勇さんのお話書きたいなと思っているので暇つぶしにでもお読みいただけたら嬉しいです! (2021年8月13日 22時) (レス) id: 78c8cda6bf (このIDを非表示/違反報告)
仮屋瀬みらい(プロフ) - 伊達巻さん» 伊達巻ちゃん読んでくれてありがとう!そう言ってもらえて嬉しいです( ; _ ; )! (2021年8月13日 22時) (レス) id: 78c8cda6bf (このIDを非表示/違反報告)
凪子(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました。新作、楽しみにしてますね!胸が苦しくなるキュンさがたまりませんでした…泣。 (2021年2月26日 21時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:仮屋瀬みらい | 作成日時:2021年2月17日 18時

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