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次の日、Aはまだ寝ていたいと叫ぶ体を無理やり起こして、いつもよりも早く朝餉の支度にとりかかっていた。
少し遠くから足音が聞こえてきて振り返ると、眠そうに歩く大好きな義勇の姿が見えた。ぴょこんと跳ねた髪の毛すら愛おしくて胸が苦しくなる。
「義勇さん、おはようございます!」
「なんだ、今朝は早いな。」
「義勇さんと早くお出かけしたくって。」
「随分と嬉しいことを言ってくれるな。」
「ふふ、本心です。」
いつもの通りに朝餉を終え、Aはすぐに鏡の前に立った。一人であれやこれやと頭を悩ませていると、義勇が部屋の外からちらちらとこちらを覗いているのに気付く。どうやら既に身支度を済ませたらしい。
「どうした。」
「あっ義勇さん、あの…これ、どうですかね…?」
以前一目惚れして購入したものの、ずっとしまい込んでいた着物を纏ってみたところだった。慣れない可愛らしさの花柄の着物と、久々に紅を乗せた自分の姿は何だか奇妙に思える。
「…っ!」
「義勇さんそれはどういう…」
「…美しすぎる。」
そう一言だけ聞こえたかと思えば、義勇の左手にぐっと右手を繋がれる。小さな声でボソッと呟く言葉ほど義勇の本音であるということをAはよく知っていた。
「お前の美しい姿をあまり表に出したくはないが。昨晩からの約束だ、早速行くぞ。」
Aは義勇に手を引かれるがまま家を後にした。
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仮屋瀬みらい(プロフ) - 凪子さん» 最後までお読みいただきありがとうございました!これからも読者様に大切にしていただける物語を書けるように頑張ります! (2021年8月13日 23時) (レス) id: 78c8cda6bf (このIDを非表示/違反報告)
仮屋瀬みらい(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさんさん» 感想お寄せいただきまして、ありがとうございます!これからも頑張ります ^ ^ (2021年8月13日 23時) (レス) id: 78c8cda6bf (このIDを非表示/違反報告)
仮屋瀬みらい(プロフ) - 莉子さん» 莉子さん!このお話を大切にしてくださってありがとうございました!また新しく義勇さんのお話書きたいなと思っているので暇つぶしにでもお読みいただけたら嬉しいです! (2021年8月13日 22時) (レス) id: 78c8cda6bf (このIDを非表示/違反報告)
仮屋瀬みらい(プロフ) - 伊達巻さん» 伊達巻ちゃん読んでくれてありがとう!そう言ってもらえて嬉しいです( ; _ ; )! (2021年8月13日 22時) (レス) id: 78c8cda6bf (このIDを非表示/違反報告)
凪子(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました。新作、楽しみにしてますね!胸が苦しくなるキュンさがたまりませんでした…泣。 (2021年2月26日 21時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:仮屋瀬みらい | 作成日時:2021年2月17日 18時