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「いらっしゃいませ!」


今朝から何度言ったかも分からない台詞を明るく口に出すと、その男がこちらに向かって一つ小さなお辞儀をする。天気がいいこともあり外は気温が高いだろうに、そんなことは少しも気にしていないのか、男は今日も暑そうな半々羽織を身に纏っていた。確かあのような柄のものは正式には片身替わりといっただろうか。


その男は、Aが案内するよりも早くいつもの席に腰を下ろした。そこは言わば男の特等席だ。


「こんにちは。今日も鮭大根ですか。」


キンキンの冷を机上に置きながら問いかけると、男がこくりと頷く。Aが接客を始めてからというもの、この男は一つも言葉を発さないのだが、果たしてそれだけで意思疎通ができると思っているのだろうか。できているのだが。


「ふふ、ちょっとお待ちくださいね。」


調理場にいる父親に向けて注文を通す。昼時の調理場は特に騒がしく、大きな声を出さなければ父親には聞こえない。数時間店内を駆け回り、乾ききった喉で大声を出すのは少しばかり辛いことだった。


「お父さーん、鮭大根一つ!」


「はいよー!」


とある町の中心部に位置するこの店は町内で有名な和食処の一つだ。特に鮭大根が絶品だと巷で噂になっているらしい。


「A、ちょっと手伝ってくれ!」


「はーい!」


父親の声に誘われて調理場に入ったAは、指示の通りに手を動かしながらちらちらと男の方に視線を向けた。余程空腹ということだろうか。先刻から何となくこちらに目を向けてくるその視線が気になって仕方なかった。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 冨岡義勇 , 水柱   
作品ジャンル:アニメ
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仮屋瀬みらい(プロフ) - 凪子さん» 最後までお読みいただきありがとうございました!これからも読者様に大切にしていただける物語を書けるように頑張ります! (2021年8月13日 23時) (レス) id: 78c8cda6bf (このIDを非表示/違反報告)
仮屋瀬みらい(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさんさん» 感想お寄せいただきまして、ありがとうございます!これからも頑張ります ^ ^ (2021年8月13日 23時) (レス) id: 78c8cda6bf (このIDを非表示/違反報告)
仮屋瀬みらい(プロフ) - 莉子さん» 莉子さん!このお話を大切にしてくださってありがとうございました!また新しく義勇さんのお話書きたいなと思っているので暇つぶしにでもお読みいただけたら嬉しいです! (2021年8月13日 22時) (レス) id: 78c8cda6bf (このIDを非表示/違反報告)
仮屋瀬みらい(プロフ) - 伊達巻さん» 伊達巻ちゃん読んでくれてありがとう!そう言ってもらえて嬉しいです( ; _ ; )! (2021年8月13日 22時) (レス) id: 78c8cda6bf (このIDを非表示/違反報告)
凪子(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました。新作、楽しみにしてますね!胸が苦しくなるキュンさがたまりませんでした…泣。 (2021年2月26日 21時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:仮屋瀬みらい | 作成日時:2021年2月17日 18時

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