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そんなことを考えながら、Aはいつの間にか自室まで戻っていた。


あれから暫くの間は善逸が何やら騒いでいた気がするが、炭治郎らに任せて出てきてしまって問題なかっただろうか。なんて気にしたところで既に後の祭りだ。


「あ、おかえり。」


扉を引き開けると、そこにはまるでそこが自身の屋敷かのように寛ぐ無一郎がいた。


「ただいま…じゃなくて、どうしてここに?」


「さっき診察が終わって。」


そういうことが聞きたいわけじゃないんだけど、と口を開きかけて結局何も言わないままAは腰を下ろした。自身の病室に戻ってきたはずがどうしてか落ち着かないのは、同じ部屋に無一郎がいるからに違いないのだが、どうしてわざわざこの部屋を訪れたのか本人に理由を聞こうにも、会話の主導権はもう無一郎のものだ。


「さっき強面の狼みたいな人とすれ違ったよ。」


無一郎は名前よりか、その人の特徴を動物に当てはめるほうが記憶に残りやすいらしい。


「顔に傷がたくさんあって、」


名前は何だっけ、と考えこむような素振りを見せて、それから思い出したかのように無一郎が言葉を続ける。


「誰かのお見舞いかな、おはぎ持ってた。」


「えっ、あ、」


「ん?」


思わず漏れた声に反応して無一郎がきょとんと首を傾げる。強面に顔面の傷、それからおはぎ、それはもう思い当たる人物が一人しかいないような気がしてAはとうとう口を開いた。


「それって、お兄ちゃんのこと?」


「あれ、君ってお兄さんいたんだっけ。」


少し驚いたように無一郎が浅葱色の目を丸くする。


「ああ、うん。」


もうこの話は何度かしたのだけれど。そんなことを思いながら、Aは何度目かになる昔の話をした。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 時透無一郎 , 不死川実弥   
作品ジャンル:アニメ
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仮屋瀬みらい(プロフ) - 香恋さん» お気遣いありがとうございます( т_т )春から環境が変わってちょっと疲れているのかもしれません、、また余裕ができたら更新いたします◎楽しみにしていただいているところ申し訳ございませんが、もう少し待っててください( т_т ) (6月15日 21時) (レス) id: 51aa3d423f (このIDを非表示/違反報告)
香恋 - 仮屋瀬みらい様、お忙しい中お知らせありがとうございます…!お身体心配です(;_;)私生活あってこその活動ですのでどうぞ無理せずまた心から執筆したい時でいいと思います。綺麗な文章なのできっと何度も推敲して更新されてるんだろうなぁと。いつまででも待ってます! (6月15日 10時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
仮屋瀬みらい(プロフ) - 無一郎 霞柱さん» 本作を見つけてくださりありがとうございます🥲温かいコメントまで嬉しいです...!これからも更新頑張りますので応援していただけるとありがたいです。無一郎くんの良さを書けるように頑張りますね❤️‍🔥 (5月29日 23時) (レス) @page9 id: 51aa3d423f (このIDを非表示/違反報告)
無一郎 霞柱 - 初めまして。私は無一郎の大ファンでこの作品を見れてとても嬉しかったです。この作品は何度でも読み返せる作品だと私は思います今後も楽しみに期待しています! (5月29日 20時) (レス) id: e0adcf337a (このIDを非表示/違反報告)
仮屋瀬みらい(プロフ) - 香恋さん» 更新が遅くて申し訳ないです頑張りますね( т_т )!文章を褒めていただけることが何より嬉しいので香恋様のコメントに嬉し泣きしそうです( т_т )繰り返し読んでくださってるなんて...!たくさん作品を愛してもらえると嬉しいです( т_т )✨ (5月19日 20時) (レス) id: 51aa3d423f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:仮屋瀬みらい | 作成日時:2023年5月15日 0時

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