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宮近「そんなやばいの、ふたり」

「分かんないけど、アキはやばそう」

 

すべり台とブランコと砂場からなる小さな公園で、
ブランコの柵に並んで腰掛ける。

近くのコンビニで宮近が缶チューハイを買ってくれたので、素直に奢られた。私の分と、アキの分。

 

間も無く、部屋着のままのアキが私たちのもとへふらふら歩いてきた。

元々すらっとしている彼女の疲れ切った姿は、放っておいたらどこかへ飛んでいってしまいそうに見えて、

あと、こんなアキを私1人で受け止め切る自信もなくなってきて、

宮近がいてくれてよかったかもしれないと思った。

 

「どうした。」

宮近が柵から腰を上げて、私の隣はやって来たアキに変わる。


「海人となんかあった?」

宮近「俺外そうか」

「とりあえず飲む?笑」

 

汗をかいた冷え冷えの缶チューハイに触れもしない。
眼鏡のフレームの奥でまぶたが腫れているのを隠しきれていない。
そこからまた、大粒の涙がこぼれる。

 
ここまで参ってる姿を見るのは初めてな気がして、私まで泣きたくなった。
視線を正面に立つ宮近のスニーカーに変える。

 

もし海人と、
どうしてもうまくいかなくなっちゃったんだとしても、
私たちの仲を心配することなんてない。


親友に今更何を言われたって引かないし、責めたりなんてしない。


味方だということが伝わればと思って、
缶を片手にまとめて、空いた手でアキの手を握った。

 


宮近が姿勢を変えるたびに鳴る、スニーカーの底が地面の砂を擦る音と、やかましいセミの声だけを聞く時間がしばらく流れて

ようやくアキが口を開いた。

 

 


「3回やったんだけど、3回陽性だった」

 


「ん?」

 


「陽性。」

「1回用を買って、そのあと2回用買った」

「風邪ずっと治んないし、生理来ないし、」


アキが自分の身に起きたことを多分逆さまに説明し始めて、

何の話かは、何の話と言われなくても、私にも、多分宮近にも分かった。


 

「ハルだったら、元太に言える?」

「元太に言える?」

 

頭を落として泣き続けるアキの隣で、
すぐに答えが出ない私は、どういうわけか宮近と目があった。

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作者名:ひま | 作成日時:2023年7月16日 14時

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