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◆ハルside◆
宮近との帰り道。
一刻も早くこの時間を終わらせたかった私の足を止めたのは、アキからの着信だった。
ただ機嫌が悪いだけなら、
海人と会ってとことんヘソ曲げてればいい。
アキがそれを選ばないってことは、
記念日ドタキャンするほどの何かワケがあったんだって、
不安は的中で、電話口の声は泣いている。
「どした?今?帰りで宮近と、公園の近く。」
偶然にも、アキのマンションの公園のそばを通っていた。
ヒクヒクしゃくりあげる合間で、か細い声が
「もう考えるのやめたい、しにたい…」と言う。
普段強気な友人がこんなに参っているのは、私まで気持ちがダメになる。
「話聞くから、大丈夫だから、ちょっと待ってて」
「アキが泣いてるから、ちょっと公園で会ってくる」
一言告げて来た道を引き返そうとすると、「俺も行く」と
宮近がついてくる。
宮近「聞いちゃいけない話なら、聞こえないとこで待ってるから」
あんな雰囲気になった手前、これ以上一緒にいるのはどうにか避けたかったが、
宮近「なんに絡まれるか分かんないよ、今日。泣いてるなら尚更」
今、自分が浴衣を着ていて、今日がこの街一番人が集まる夜であることを思い出して、断りきれなかった。
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作者名:ひま | 作成日時:2023年7月16日 14時