検索窓
今日:8 hit、昨日:13 hit、合計:14,980 hit

ページ4

明日、サプライズで空港に迎えに行く約束をして、通話を終えた。

 

―そういうところしかない、とはその通りで。
本当にいつも突然なのだ。

 

高2の4月、修学旅行の班決め、
海人とアキをくっつけるためだったというのはそのかなり後に知るのだが、
「絶対に盛り上げようとは思っているので、一緒になってくれませんか」
私たち女子の前にいきなり現れたのが、それまで全く接点の無かった宮近だった。

 
修学旅行を経てつるむようになった私たちのもとに、
サッカークラブで付き合いが長いという後輩の元太くんを連れてきたのも突然だったし、

 
宮近のお兄さんの漫画を読みに宮近の家に通い始めて数回目、
……とにかくなんでも突然だった。

 
アメリカ行きを告げられた時も例に漏れることなく。

3年ちょっと前、
高校を卒業した私たちと、
卒業生に配られたコサージュ、私たちの分6つをブレザーに付けた元太くんと、
いつものようにファミレスで、時間を持て余していた時。

ボソボソと笑いながら、
日本の大学には行かないこと、留学をすること、無期限であること、
全員ドン引きの事後報告だった。

 

その宮近が、今度はいきなり帰ってくる。
本当にいつも、こうなのだ。


 

 


「いま何考えてる」

顔をのぞく元太くんの声で我にかえった。


「ん?
甘くて冷たいものが食べたいなーって」


終電の時間が来てみんなと別れ、
私は元太くんと手を繋いで歩いていた。


元太「あんだけ食ってまだイケる?笑」

「なに、元太くんだってまだ食べれるくせに」

元太「そうだよ?だからサイコーって思って」


この人が今私だけに向けてくれる笑顔がやっぱり愛おしくて、

「元太くんが心配してるようなことは、考えてないよ」

繋ぐ手に力を込めた。


元太「俺が心配してることって…
アイス奢ったらホテルは割り勘で許されるかなって?」

「いいけども笑」


2人で子どもみたいに大きく腕を振る。

「大丈夫だよ」
元太くんと自分に言い聞かせた。

 

宮近が、
帰ってくる。

02 -side C-→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (43 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
85人がお気に入り
設定タグ:TravisJapan
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ひま(プロフ) - なるさん» 初めてのコメント!😭ありがとうございます。必ずや、書き切ります。 (7月2日 21時) (レス) id: da5a411ea8 (このIDを非表示/違反報告)
なる(プロフ) - わぁ!ナツメキの季節だ、と胸の高鳴りが聞こえてきます。再開嬉しいです。応援してます! (7月2日 16時) (レス) @page45 id: 171bdb3dc4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ひま | 作成日時:2021年8月12日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。