占いツクール
検索窓
今日:9 hit、昨日:9 hit、合計:8,553 hit

115話 ページ20

「ねえ、こっちにもシャンパンを。」



緩くウェーブのかかった長いブロンドを揺らしながら、一人の女性がアルフレッドを呼んだ。彼はそれを冷えた目でちらと窺って、それから申し訳なさそうに俺に言うのだった。「すぐ戻るからここにいてくれ」と。そうしてまた薄っぺらい笑顔を貼り付けて仕事に戻ってゆく。さながら、想い人との時間を邪魔された学生のように。

彼には恋人がいない。なぜなら彼に付き合いきれる女性はそう居ないから。彼がそう言ったから信じた。そして女性に興味もないのだと。
アルフレッドは驚く程に真っ直ぐな男であった。自分の意見は曲げないし、正しいと思えばそれを突き通す。長い付き合いではないものの人間関係だって例に漏れないはずだ。どれほど仲が良かろうが自分の障害になり得る相手ならば容赦はしない。来る者は拒まず、去るものは追わず。随分とパーソナルスペースは狭かったが、必要以上の接触は好まなかった。むしろ俺より利害関係の一致を重視するような男だった。
しかしそれはあくまで俺が彼を観察して思ったことだ。知り合ったばかりの頃は俺と彼の間柄もきっとそうだった。それが時を経て変化し、今ではアーサーに似て過保護な部分があることを知った。勢い余って抱きしめるガキのような部分があることを知った。きっと親しい人物にはみんなそうなのだと思っていた。

アーサーやマスターの顔が浮かぶ。俺のリードミスなんて、ずっと前からわかってた。

ふと天井のライトの眩しさに目がくらむ。白んだ世界の先でアルフレッドは心底どうでもよさそうにしながら、時折こちらを気にしている。

一瞬だけ、その背中が昔馴染みと重なった。



「…面倒だなあ。」



今更気付いたなんてことはない。薄々勘づいてはいた。その度にこいつはそういうやつなのだと自分に言い聞かせてきただけで。気づいていないふりをし続けてきただけで。

アルフレッドのあからさまな好意を察することができないほど、俺は鈍感でもなければ単純でもなかった。
恋や愛の型なんて人によって様々だ。特にこの国では様々な人が交わっている。むしろそんな小さなことにこだわる人間の方少ない世界。男の友人がある日突然女性になったり、女性同士のカップルが近所に住んでいたり、二人でいることを淡々と望む親友同士もいた。当たり前のことだった。だから驚いたりはしない。

それでも俺は願うのだ。あわよくばこれは杞憂でどうしようもない俺の自惚れであることを。

116話→←114話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (53 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
109人がお気に入り
設定キーワード:男主 , ヘタリア , APH   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

そうる(プロフ) - fさん» 本当に泣きました。ありがとうございます。がんばります! (4月20日 9時) (レス) id: e4ea35986a (このIDを非表示/違反報告)
f - 何度も繰り返しているからこんな素敵な作品になるんですね!この作品に出会えて、読むことができるなんて幸せ...最高.....!好きなのでどれだけ掛かっても大丈夫ですよ!頑張ってください! (4月17日 22時) (レス) id: 4ca17f9031 (このIDを非表示/違反報告)
そうる(プロフ) - fさん» f様、度々応援のお言葉ありがとうございます。自分は一度に一気に更新することが苦手で、何度も何度も編集を繰り返してしまうのですが、そのお言葉にとても救われました。ゆっくりにはなってしまいますが、これからもよろしくお願いします。 (4月17日 1時) (レス) id: e4ea35986a (このIDを非表示/違反報告)
f - 久々の更新でわくわく...!!気長に待ってます!頑張ってくださいいつも応援してます! (4月15日 2時) (レス) id: 4ca17f9031 (このIDを非表示/違反報告)
そうる(プロフ) - fさん» ありがとうございます!f様のような方々のお力があってこそ頑張れます。まだまだ作品は続いていくと思いますが、これからもお付き合いしていただければ嬉しいです。コメントありがとうございました。 (1月15日 10時) (レス) id: e4ea35986a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:そうる | 作成日時:2018年1月9日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。