46話 ページ48
「怪盗ジーリョは手強い相手です。ですので、敢えてダイヤを盗ませた上でジーリョの正体を破り、捕まえてほしい。実行犯逮捕がいちばん手っ取り早いですから。」
「だから、こんな依頼を?」
「ええ。軍警も警備につくそうですが…彼らに推理を頼んでも成果は望めませんので。その分、フランシスの紹介であれば心強い。」
犯人を暴きさえすれば警察があとは片付けてくれますから。勿論報酬はきちんとお支払いしましょう。
老人はそう言ってにこりと笑った。ひょっとしたら欧州の島国の生まれなのかもしれない、などと考える。アルフレッドは先程からカードをくるくると回してにらめっこをしてばかりだった。
ふと、疑問に思ったことをそのまま正面の男にぶつける。
「ところで、貴方は関係者の方なんですよね?」
「ええ、当日はスタッフとして参加していますから、またお会いすることもできるでしょう。」
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「にしてもでかいな…はぐれるなよお前。」
「勿論さ、なんたって君の助手だからね俺は。」
「雇った覚えはないけどな。」
「給料はいいから出勤日の夕飯奢る契約で手を打ってあげるよ。」
ふざけてやがる、と心の中で悪態をつく。絶対に雇うことは無いだろうが、オークション会場まで付いてきてしまったのだから今回は仕方ない。こうして舞台はシティタワービルの真下に戻るわけだ。
一応俺たちも正装に身を包んで参加者たちに紛れ込む。会場は招待状が無ければ入れないのだが、先程打ち合わせをした際にメイスフィールドさんから2枚ほど頂いてきた。頼みましたよ、と背中も叩かれている。彼は仕事があるからあまり動けないらしい。
ビルの周囲には既に警察が数人彷徨いている。これからオークション開始時間が近づくにつれてどんどん数が増えるであろうことは想像に難くない。
まだまだ時間の余裕はある。早めに行って色々見ておくのが一番か。
ガラス張りの2mはありそうな正面玄関は自動扉になっていて、中にはフロントや休憩スペース、レストランやエレベーターなどが見える。さすが高級そうなビルだ。そこかしこに品よく談笑する老若男女が佇んでいた。
思い立って歩き出したことに助手まがいが気付くのは決まってきっかり三秒後だ。彼から俺の頭頂は非常に見えにくい。
「え、ちょ、待ってよ。」
「まずは会場の下見と主催者に挨拶だ。喋るんじゃないぞアルフレッド。」
「君はいつもそうなんだから!」
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そうる(プロフ) - 表現や関係性、トリック等に山のように修正箇所がありますし、名前変換の修正が不充分な箇所もあるので土に埋まりたいほどなのですが、それでも今なおコメントしてくださっている方、地中から発掘してくださった方にこの場を借りて御礼申し上げます。 (2022年7月9日 22時) (レス) id: 4692de9cf0 (このIDを非表示/違反報告)
そうる(プロフ) - 読んでくださっている方、ありがとうございます。古に拙文を書いた当人です。四年前のテキストに耐えかねアカウントを消してしまったため、この作品の細かい箇所の修正がもうできません。(パスワードを忘れてしまいました) (2022年7月9日 22時) (レス) id: 4692de9cf0 (このIDを非表示/違反報告)
そうる(プロフ) - のぁさん» 貴重なご意見ありがとうございます。とても参考にさせていただきました。弱い、という言葉では主人公を表すのにいまいちしっくりきていなかったので思い切って変更することにしました。続編の方でもお付き合いいただければ幸いです。 (2017年10月22日 20時) (レス) id: e4ea35986a (このIDを非表示/違反報告)
のぁ(プロフ) - 続編おめでとうございます!題名の事ですが、私としては題名にこだわり等はないので変わってもそのままでも、と思っています。もし作者様が今の題名より素敵な題名を思いついたのであれば、それに変更する。というのでもいいと思います! (2017年10月22日 17時) (レス) id: 716e994b36 (このIDを非表示/違反報告)
英智君尊いよぉぉぉぉ(((殴 - あっそうなんですね。わかりました〜書き直しが出来たら教えてください♪ (2017年6月17日 18時) (レス) id: 2f00a5668f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そうる | 作成日時:2016年12月12日 9時