【男主】unità difettoso！【APH】

32話 ページ34

「君さあ、行くなら行くって前もって説明してくれなきゃ！いきなりじゃびっくりするだろ！？」

「じゃあ今説明したってことで。」

「君メチャクチャだな！？」



本当に大丈夫かなあ、なんて一抹の不安がよぎる。

車に揺られること20分。
この妙に信用できないアジアンを乗せて俺は自宅に向かっている。俺の家を実際に見て調べるためだ。7番通りは大きな家が立ち並ぶ住宅街になっている。

フランシスの持っていた名刺を頼りにして着いた先は、そりゃもう怪しいに怪しいを重ねた探偵事務所。それでもあの男がわざわざ手に持っていたのだから腕は立つんだろうと、勇気を出して戸を叩いた(物理)わけだけど。フランシスは使えない名刺はカウンターに置いたりしないんだ。

助手席の男は俺よりだいぶ小さくてだいぶ若い。
俺よりも下に見えるけど、アジアンはみんな幼く見えるって話だから俺は騙されない。きっと同い年くらい。そしたら19か。やっぱり見えないね。
恐怖が勝るあまりについつい飛びついて依頼してしまったけど…ぱっと見た様子役に立つとは到底思えなかった。それでも頼んだ手前、今更車から追い出すわけにもいかず。
最初にその姿を認識してから、若干帰りたい気持ちになっている。勿論1人でだ。

彼はこっちに来てからまだ半年くらいだと話す。だから車を持っていなくって、俺が事務所に来る時使った自家用車で移動するハメになった。俺がまさか車を持っていると思わなかったらしい彼はミニバンを見た瞬間に目を点にしていたけど。

車のラジオから流れる音楽が俺たちの間を取り持っている。喋ったり喋らなかったりする俺たちだけど、取り敢えず居心地は悪くなかったから助かった。ここで気まずくなる相手だともう踏んだり蹴ったりじゃないか。

車体ががたん、と大きく揺れた。
ほら、もうすぐで着くさ。

一軒の家の前でレバーをＲに入れてバックすれば、さすがの彼も目的地に着いたことを察したようだった。



「おーお前んちでけえな……さすが金持ち。」

「うるさいよ、褒め言葉は俺の従兄弟に言ってくれ。」



ピーッと音を立てて車庫に車を停める。
助手席から飛び降りた彼は、猫のように1度だけ伸びをすると1人でスタスタと歩いて行ってしまった。家主を差し置いて。
慌てて俺も後を追う。自由人すぎるだろ、ここは俺の家だぞ！？
何かされたらたまったもんじゃないから、細心の注意付きだ。彼は庭の方へ回ると、家の下の方をじい、っと覗き込んでいた。

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