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5話 ページ7

「……この前身元不明の殺しがあっただろ。こっからちょっと行ったストリートで。タチバナは知らないとは思うがな。…あれが行き詰まってんだよ。」



アーサーさんの一杯だけだったはずの酒はいつの間にか増えていた。

俺への疑念があるのか、犬猿の仲のマスターを頼るからか。彼の口調は渋々と言った様子だ。
俺はといえば、この街で起きたという事件に若干の畏怖を感じてゴクリと喉を鳴らした。捜査が行き詰まっているとアーサーさんは言うのだから、そこから推測するにおそらく犯人はまだ捕まっていないのだろう。

しかし疑問だ。
それが一体マスターにどんな関係があるのだろうか。飄々としたマスターの様子から、その事件の重要な関係者という雰囲気も無い。
頭を傾げて二人を眺める。マスターは意地の悪い笑顔で「それで?」と訊いた。

アーサーさんが悔しそうに舌打ちをする。



「…上の命令だからな、仕方なくだ。俺からすりゃ癪でしかねえがお前の力を借りたい。…何か知ってることがあればなんでもいい。教えてくれ、頼む。」

「もーっ、仕方ないなあ!お前にそんなにまで頼まれちゃあお兄さんも力を貸してやるしかないかなあ。」

「……ぶん殴られたくなけりゃ早く言え。」



その様子じゃ何か知ってるんだろ。と、アーサーさん。

こんなこと滅多に無いと、マスターはここぞとばかりにアーサーさんを煽っていたが、さすがに殴られるのはゴメンだったらしく、「ちょっと待ってて」と残して慌てて店の裏に消えた。マスターが視界から一瞬でも消えたことに余程安堵したのか、アーサーさんは大きなため息を漏らす。あんなに常に臨戦態勢ではさぞかし疲れることだろう。
しかしマスターは本当に何か知っていたのか。

アーサーさんがグラスに残った一杯を飲み干したタイミングで、マスターは戻ってきた。
手には白い紙を数枚束にしていて、それをそのままアーサーさんへと差し出す。



「その件、多分ヴァルガスんとこだと思うよ俺は。最近組織内の裏切り者が出たみたいでさ。関係者一掃したっぽいから。」

「じゃああの殺しは」

「裏切り者の血縁だかなんなのかは分かんないけど、おそらくその筋だろうね。身元不明なら尚更さ。」

「そうか。」



資料だと思われるそれを手にして、アーサーさんは頷いた。

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そうる(プロフ) - 表現や関係性、トリック等に山のように修正箇所がありますし、名前変換の修正が不充分な箇所もあるので土に埋まりたいほどなのですが、それでも今なおコメントしてくださっている方、地中から発掘してくださった方にこの場を借りて御礼申し上げます。 (2022年7月9日 22時) (レス) id: 4692de9cf0 (このIDを非表示/違反報告)
そうる(プロフ) - 読んでくださっている方、ありがとうございます。古に拙文を書いた当人です。四年前のテキストに耐えかねアカウントを消してしまったため、この作品の細かい箇所の修正がもうできません。(パスワードを忘れてしまいました) (2022年7月9日 22時) (レス) id: 4692de9cf0 (このIDを非表示/違反報告)
そうる(プロフ) - のぁさん» 貴重なご意見ありがとうございます。とても参考にさせていただきました。弱い、という言葉では主人公を表すのにいまいちしっくりきていなかったので思い切って変更することにしました。続編の方でもお付き合いいただければ幸いです。 (2017年10月22日 20時) (レス) id: e4ea35986a (このIDを非表示/違反報告)
のぁ(プロフ) - 続編おめでとうございます!題名の事ですが、私としては題名にこだわり等はないので変わってもそのままでも、と思っています。もし作者様が今の題名より素敵な題名を思いついたのであれば、それに変更する。というのでもいいと思います! (2017年10月22日 17時) (レス) id: 716e994b36 (このIDを非表示/違反報告)
英智君尊いよぉぉぉぉ(((殴 - あっそうなんですね。わかりました〜書き直しが出来たら教えてください♪ (2017年6月17日 18時) (レス) id: 2f00a5668f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:そうる | 作成日時:2016年12月12日 9時

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