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「あ、来たみたいだよ...」
「え?」
モニターを見ていたコナンくんがいち早く気付いた。私もそれを見るとモニターには大きな月をバックに優雅に飛んでいる怪盗キッドの姿が映っていた。相変わらずその口元には笑みが浮かんでいる
コナンくんがワゴン車から飛び出し、私もコナンくんの行動一つ一つを見逃すわけにはいかないと彼について行く
生身の人間が重力に逆らって宙に浮けるわけがない。その常識は覆すことは出来ないが今まさにキッドが行ってるのは奇跡の類だ、、、練習もなしにぶっつけ本番でここまで出来る彼のセンスと度胸が素晴らしい
「多分ビルの間にワイヤーを通して体を吊ってるんだよ!雪乃ねえちゃん、一緒に行こ!」
隣のビルまできたがそこにワイヤーは存在してなかった
反対側のビルまで行った中森警部のところにもワイヤーはなかったようだ
当然だろう。ワイヤーは寺井さんが回収済み。回収する時についてしまった傷はさすがにこの短時間で隠すのは不可能な為私の体で隠す事にした。コナンくんも今はキッドで手一杯で此方を見る余裕がないのも幸いしただろう
キッドは暫くその様子を横目で観察して一瞬だけ私と目を合わせるとオホンと咳払いをして話し始める
「
我が肢体が繰り出す奇跡を、とくと御覧あれ...」
そしてキッドはそのまま歩き始めた
コツコツコツと歩いてる姿は地上で歩いてる姿と大差ない。まるでほんとに空中で歩いてるようだ
この靴音を撮るのに何度リテイクを繰り返したか、、、思い出すだけで涙が出そうだ
コナンくんが靴のダイヤルを回していると彼はそれに気付いたのかチラリと視線を寄越し、挙句の果てにそのまま私に向かってウインクまでしだした
バレるっちゅーねん!!
「さて、前夜祭はここまで...。明晩20時再び同じ場所でお会いしましょう」
相変わらずのわざとらしいキザなセリフを吐き、その場から消えた。
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作者名:ぽむ | 作成日時:2023年5月5日 1時