【d!】8月32日【合作】 (ページ48)

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「顔、土ついてますよ。」
「え、嘘。」

ショッピくんは猫を撫でるときみたいに、そっと頬に手を伸ばした。猫を撫でる時とは違って、ぐいと強めに拭われたけれど。
月光が降り注ぐ中、紫色の瞳が細められるのに、目が奪われる。
ふ、と一瞬頬を緩めたショッピくんは、すぐに白けた顔をして車に戻っていった。
それで、助手席を倒して小さく寝息をたてていた。
最後まで手伝うつもりはないらしい。ほんとになんでついてきた。

おじさんを地中に埋めていたら、すっかりもう少しで朝日が昇るくらいの時間になっていて、明日が休みで良かった、とホッと胸を撫で下ろす。
重さが一人分減ったからか、山をおりる時はタイヤは大人しめだった。

「ねぇ、なんか食べる？」

山から少し離れたコンビニに寄って、ショッピくんに声をかけると、不思議そうな顔をしていた。
まぁ、死体埋めるのに勝手についてきた人に言うには、確かに変かもしれない。

「じゃあ、一番高いアイスで。」

意味も分かっていないのに、そうやって即答するところが流石だと思う。
こういうのが出世するのかな。
そそくさとアイスを買って、助手席にいるショッピに押し付ける。

「あざっす。」

何味が好きか分からなかったから、誰にとってもハズレではないであろうバニラを買った。
それで、お願いをするために。

「これあげたから、誰にも言わないで。」
「ん？」

今更怖くなって震えはじめた手を抑える。
さっきまで全然平気だったのに、アドレナリンが切れてしまったみたいで、人を殺して埋めてしまった事実に恐怖で涙が滲む。

「ああ、そういう。Aさんって結構かわいいとこあるんすね。」

ショッピくんは、震える私の手からプラスチックのスプーンを取って、アイスを食べ始めた。
何が引っかかったのかは知らないが、人を轢いた女に対してかわいいって言える感性はさすがに疑う。

「いいっすよ。」

そう言って笑っていたショッピは、ここ最近で一番生きてるって感じの目をしていた。

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