【d!】8月32日【合作】 (ページ46)

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免許剥奪RTA(shp) ページ46

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ドンッ。

鈍い音がした。
ああ、ええと、簡単に身近なものを使って表すのなら、ブロック肉をまな板に思いっきり叩きつけたみたいな、とにかくあんまり良くなさそうな音だ。
でも、それと全く違うところは、私はおいしいお肉なんて食べることが出来ないという点。

それどころか、人を轢いてしまった。

それも直属の上司を。
轢くつもりなんて⋯⋯。
なかった、とは言いきれないところが良くないな。
しかし、常人では考えられないような感情が、理性の境界線を越えてしまいでもしなければ、私みたいなちっぽけな存在がこんなことをしでかす訳がないのだ。

「や、やっちゃった〜っ！！」

それがいくら頭が寂しそうで丸々とお太りあそばせてて、名指ししてまで私にお茶を入れさせて、セクハラ紛いの発言をしては「あれ、こんなこと言ったら今じゃセクハラかな？」とか言ってはそれを何度も繰り返すような痴呆を患っている部長だったとしても。
私の手を汚さない方法でいつか消えてくれないかな、なんて思っていたけれど。
なんでこんなことに。
よりにもよって最悪のゲームのババをひいたのは私だなんて。
嘘でしょ、有り得ない。夢なら早く覚めてほしい。

「嘘だ〜っ！！最悪、最悪、最悪っ！！なんで私なのっ！！」

目の前に突然飛び出してきたものだから、ブレーキを強く踏み込んだ、はずだった。
心の奥底で怒りの炎が燃えていたのも原因の一端だったのだろうか。
あろうことか、私はフロントガラスから見える景色に突然横入りしてきた部長を見て、ブレーキではなくアクセルを力いっぱい踏み抜き、思いっきり追突事故を起こしたのだった。
こんなことがあっていいわけがない。

どうしよう、どうしよう、焦りに焦った私は、取り敢えずピクリともしなくなったおじさんの足を引っ掴んで、コンクリートの上を引き摺った。
幸いにも、轢いた瞬間は誰も見ていなかったようで、まだなんとかなるんじゃないか、と希望を持たせたのも悪いと思う。
とにかく誰かに見つかる前に、車の後部座席に詰め込もうとした。
ローンで買ったピンク色がお気に入りのかわいい軽自動車。おじさんなんて乗せる予定はなかったのに。

「あ。」

おじさんを乗せることを嘆いていたら、その時後ろで私以外の声がしたのだった。

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