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助手席から火葬場の煙突が見えた。煙突からヒョロヒョロと流れ出る煙を見て、何かを思い出しそうになる。
車から降りると、早速コネシマは煙草に火をつけた。彼の手元から上がる紫煙に、先程思い出しかけたのはこれだったのか、と納得する。律儀に風下で吸うコネシマの背中に、声をかけるために息を吸い込んだ。
「夏だね！」
コネシマは振り返って、少し頬を緩めてから、おう、と言った。黒いワンピースの裾を翻して、火葬場へ向かう。この青空のもとで上げた声が、服の裾と共に風に揺れた私の黒髪が、より強く、そしてより美しく、コネシマの記憶に残るように念じた。背後の砂利を踏む音に、彼が私についてきているのだと安心する。
ぬるい温度の八畳間。畳の感触。掬われるような眠気。
どこに行っても、蝉は鳴いている。
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作者名：素敵な夏 x他3人 | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/home
作成日時：2023年9月3日 0時
