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結露が見ている赤い顔-ci ページ35

暑い。それしか最近考えることがない。夏休みシーズンも真っ只中。8月上旬、気温は体温を越えるようなことばかりで何もかもが溶けてしまうんじゃないかと錯覚するほどに。ストーリーズもみんな外に出ないからほとんど更新されず、課外に徹夜で出ることになったという夏休みに浮かれたバカなやつが投稿している程度。

駅から歩いて10分の道程がなんの拷問なのかと思わされる。教師陣というのは朝のバスがあってまだアスファルトの暖まりきらない時間に来ているから来いと言えるのだ。生活リズムの崩壊した生徒を気遣って10時からなどにしなければ私達もこの苦痛の時間を味わわなくていいじゃないか。

こめかみの汗がつぅと流れていく。日焼け止めは汗で流れていくのだから意味がないだろう、ファンデーションもすごく浮いて困る。と友人らと共に文句を垂れていたら偶然通った生徒指導課属の教師が「化粧は禁止やで」とひとこと。全員背筋が凍ったことがある。それでもすぐに女子高生と言えるような内容のなんともない会話を再び繰り広げるのが私達だ。

ようやく東側の校門に辿り着いて、もう溶けそうになるのは最後だからとダッシュ。生徒使用禁止の扉をそっと開けて靴下のままさらに廊下を走る。下駄箱はすぐそこ。幸い誰にも見られていない!私の勝ちだ!

そう確信して自分のクラスの下駄箱がある並びに入る。そしてちょうど靴を仕舞い終わったらしい、クラスメイトのチーノくんと目が合った。

数秒の沈黙。蝉がミンミンミンミンと鳴いている。「ローファー、いれへんの?」というチーノくんの一言によって私の身体もやっと動き出した。バクバク鳴る心臓。恥ずかしすぎる。普段は真面目な生徒でやってるのに。

「そんなことする人やったんやなって、意外」

ほら。上履きへ履き替えて生え際の汗を拭き取る。この汗は暑さか焦りか。下駄箱の扉を閉めるのをチーノくんが何故か待ってくれていて、さっきは気が付かなかったけど手にはビニール袋を持っていた。彼は袋に手を入れると「いる?」とアイスを見せつけてきた。

「え?ちょっと」
「共犯やで」
「はい?」

菓子類全般を禁じられているこの校舎でやっていいことでは無い。バレないでやっている人達がいるのはそうだけど。なんだ、チーノくんも真面目に『振舞っている』タイプじゃないか。「みつかるやろ、はやく」と言ってチーノくんは昇降口に立ったままの私を手招く。後ろでスノコを踏むガタという音がして焦って追いかけてしまった。

・→←あとがき(柴崎)



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作者名:素敵な夏 x他3人 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/home  
作成日時:2023年9月3日 0時

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