【d!】8月32日【合作】 (ページ4)

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夢花火(ci) ページ4

お祭りとか、出店とか、花火とか。
大人になっていくにつれて疎遠になりがちではあるが俺は結構すきだったりする。
今日だってそんな地元のお祭りを可愛い彼女と一緒に楽しむ予定なのだ、胸が弾まないわけがない。

『お待たせ〜！じゃあ行こっか！』

全然待ってへんよ、寧ろ遅れて来たって俺は全然待てる。
それだけ時間を掛けて俺の為に可愛くしてくれたんやもん、待つ時間かて幸福な時間や。
白い浴衣がよう似合うなあ、金魚の柄もめちゃくちゃ可愛い、Aにぴったりや。
しゃなりと音が鳴りそうな簪も、赤い鼻緒の下駄も、ほんまにめちゃくちゃ可愛い。

照れた様に俯いて、嬉しそうに笑みを浮かべて。
薄暗がりの中でもしっかりとその様子は網膜に焼き付いて。
彼女が歩き出したと同時に動き出した足も自然と軽く、まるで浮いているようだった。

両側にきらきらと並ぶ屋台、どれも彼女が画角に入るだけで様になる。
りんご飴、綿菓子、たこ焼きに焼きそば。
金魚すくいもヨーヨー釣りもくじ引きも、Aが食べたいものやりたいもの全て制覇した。
嬉しそうに綻ぶ顔を見るだけでこちらの頬も財布の紐も緩んでしまう。
ほら、そんなに綿菓子に夢中になってもうたらりんご飴落としてまうで。
あっこのベンチで一休みしようや。

『さすがに買い過ぎちゃったなあ、お祭りって気付いたらいっぱい買っちゃわん？だから毎年夕飯食べへんのよねえ』

ええ、もうはよ言うて欲しかったわあ。
食べて来んやろとは思ってたから、終わってから家に招待して食べて貰うのに俺めちゃくちゃ準備したのにい。
まあえっか、Aはいっぱい食べれる子やからちょっとゆっくりしたら一緒に食べよ？
Aがだいすきなカレー仕込んでんねん、お肉もたっぷり入れたで。

暑いねえ、なんて笑いながら手をぱたぱたとさせベンチの背もたれに背中を預けると一息つく彼女。
荷物を全て脇に置いて、今か今かとわくわくしながら夜空を見上げている。
きっとその頬に軽く口付けでも落としたなら驚いた様に目を見開いた後顔を真っ赤にしてぽかぽかと俺の肩を殴るんやろうなあ、想像しただけで可愛くて堪らなくなるがそのまま拗ねて口を聞いてくれなくなったら死にたくなってしまうので我慢する。