【d!】8月32日【合作】 (ページ25)

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抜け殻(sha) ページ25

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どうしようも無いほどの日差しの強さと、目に痛いほどの青い空が嫌いだ。
中旬になるとあちこちから香る線香の匂いも、花火大会の時の人混みも、あらゆる所で夏の空色のような春に季節が変わっている二人組みを見るのも。

セミが羽化したらそこには何が残るのか。

そう聞いてきた哲学好きな元彼は、春に私とキスをしてくれたのに夏の初めにはあっさりと別の女ともキスをしていた。
思い出代わりと「自分と付き合っていた期間で何股したの。」と口角を無理やりあげて聞いたら「実は君が浮気相手だった。」なんてへらへら笑ったから、とりあえず頬を思いっきり引っぱたいて、「死ね！」と一言。
元が友人でなければ腹、もしくは急所も蹴っていたのでこれでも温いだろう。むしろこれくらいで済ませたのだから奴は私に感謝するべきだ。
元彼と私の共通の友人である二人もそれを聞いて「さすがアイツだな」と笑いやがったからほんの少しヒールのあるローファーで思いっきり足を踏みつけた。二人して端正な顔を歪ませて悶えてたな、いい気味だ。

もう空っぽだった。
私が泣かなかったからか、いつも気が強かったからか、笑い話に昇華させてくれようとしていた気持ちが分からない訳では無い。元来彼はそういう節があるのも承知した上で付き合ってたし。
それでもどうしようもなく空っぽで、だって初めましてからずっと、あのクズが好きだったから。
罪悪感でまた胸が苦しくなるのに約束をすっぽかして、携帯のメールにはきっと思ったより傷つけたことに謝罪するメールと、「今日の約束、すっぽかすから」という私のメールに対する返事が届いているかもしれない。けれど開く気にすらならなかった。
一人部屋に籠って居るとそのまま腐り堕ちてしまいそうで、重い体を無理やり動かして温い風が吹く外を歩く。
日差しもあの目が痛くなるほどの青空も嫌いだから夜から予定があるなんて嘘をついて、小さな祭りでで賑わう公園を、花火で賑わう河川敷も、駅の近くも、どこも通らない道を探して一人で意味もなく学校の近くまでひたすらに歩いた。

「あれ、Aさんやっけ？」

ふと声をかけられて思わず振り返った。暗い学校から出てきたのは確か、例の元彼と一年の時に同じクラスだった

「えーっと、シャオ、さん？」
「やっぱり大先生達とよくおる子よな」

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