【d!】8月32日【合作】 (ページ16)

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篤夢新聞

『口兄井市路地裏少女殺人事件』
　 (2022年 8月15日月曜日/執筆)

13日午前5時10分ごろ、口兄井市和摺町の路地裏で、同市町の少女(18)が倒れているのを、犬の散歩をしていた通行人が見つけ、現場で死亡が確認された。

死亡していたのは地元の高校に通う谷口Aさん(18)。
Aさんは前日の午後16時ごろに出かけたきり連絡が取れなくなっており、母親によって捜索願が出されていた。
少女の遺体には着衣の乱れと殴打後、及び刃物による外傷があり、小生的暴行の末に刃物で殺害されたと見られている。
事件現場周辺には監視カメラが無く、また目撃情報も出ていないため犯行が行われた時刻や犯人像の特定は難航している。
警察は殺人事件として捜査を進めているが、犯人は未だに捕まっておらず、現在も捜査を……

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ニュース記事に載せられた顔写真は、間違いなくさっきまでそこにいた幽霊だった。

「路地裏……殺人……？」

嫌な予感がする。悪寒が体を走る。やめろ、知るな、思い出すな、忘れろ。

「豚平あんたまだ起きとったん！」
「あ、おかん……」
「早く寝なさいもう……あっ！そうだアンタまだ知らなかったかしら」
「何？」
「去年の今頃ねぇ、アンタと同じ学校の女の子が殺された話あったでしょ？ほら、塾の行き帰りの道が近くて怖いわねーなんて話したやつ！アレ、やっと犯人が捕まったってニュースが昨日出て……」

それからの母の話はあまり頭に入って来なかった。

『去年の今頃！夕方に…』

確かあの幽霊はそんなことを言っていたはずだ、あいつは、Aはそんなことを言って……。

『あっちの路地裏、影になってて涼しそうだよ？』

路地裏……。

『ひどいなぁ、覚えてないんだ』

塾の帰り……。

『ほんの少しでも期待した私がバカだった！』

ああ、そういえばあの日、帰り道で何か見たような。誰かいたような。見間違いか聞き間違いだろうと、塾の帰り道で俺の名前を呼ぶ声はしないだろうと、無視して帰ったんだった。

あれは、献花だったのか。
散々迷惑をかけられた挙句、酷い呪いをかけて消えやがった。

「こんなん忘れる方が難しいわ……」