【d!】8月32日【合作】 (ページ15)

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もう16日の夜だ。私に残された時間はもう少ない、日付が変わる頃に私は現世に留まることができずに消える。シンデレラじゃないから、12時の鐘で全て消える。全部だ。

「私……もうすぐ消えちゃうんだよ？」
「へぇ」

興味なさげに、実際無いのだろう彼が荷物の整理をしながら、こちらを見ることもなく返事をする。

「本当に何も覚えてない！？去年の今頃！夕方に＿＿」
「だから知らん言うとるやろ」

冷たい目。無関心な目。知ってる目。
もう顔なんて見たくなくなったのに、泣いてしまいたかったのに、幽霊だから涙なんて出ない。

「そっ、か…………」

君の亡霊になりたかった。
せめて、後悔ぐらいしていてほしかった。

「…もう、来ないからね」
「来いなんて言ってへんし」

そんなの知ってる。私だって会いに行くとも言ってないし。
部屋にある時計の針が、もうじきふたつとも天を指す。自分が消えていくのがはっきりとわかって、早く消えてしまいたくて、消えたくなんてなくって、自棄になった。

「と、……豚平くん」
「なんや」
「口兄井市路地裏少女殺人事件」
「なんて？」

傷痕にもなれなかった私の話はここでおしまいだ。