【d!】8月32日【合作】 (ページ14)

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あれから3日経った。休むための帰省だったはずなのに、四六時中こいつに邪魔されて散々連れ回され、休むどころではなかった。同じく帰省している地元の友人と集まった際にも着いてきていたので、変に意識を割かれてしまい「まさか女ができたのか！？」と疑われた。違う、そこにいる幽霊が……なんてことは冗談でも言えなかった。ついに頭がおかしくなったかと腹の立つ顔で哀れまれるだけだ。
そして、この幽霊についてわかったことが少しだけある。
ひとつ、俺のことは大抵知っているということ。
ふたつ、反面、己のことは何も話さないということ。
みっつ、わかったことはあっても、思い出すことは依然としてできないということ。

「ほんとーーに、全然、全く思い出せない？」
「知らん分からん覚えとらん」
「うっそだー！！」
「嘘ちゃうわ」

いい加減外に出るのも限界があるので、諦めて実家の自室で会話をしてやる。未だに名前すら教えてもらっていないのだ、「お前」としか呼べないのも絶妙に不便で困る。

「えーん、私悲しくて泣いちゃう！」
「そもそもお前みたいなやつ見たら覚えとるやろ」
「えっ？」

もう明日の朝には実家から出る。今度は父に頼んで駅の近くまで送ってもらえることになったので、少しは楽になるはずだ。それに、こいつともお別れになる。……なってくれなきゃ困る。

「それってどういう意味？」
「あぁ？」
「やっぱり私って可愛……」
「こんな騒がしいやつ忘れんやろ」
「……ちょっとー！！」

怒ったのか、部屋のものをガタガタと揺らしながら部屋中を動き回る。明らかに上機嫌になってニヤついているのが鬱陶しかったので誤解を解いてやったらこれだ。やっぱり煩い。
いや、まぁ、見た目だけなら可愛いと思わないことは無いが。だとしてもそれは俺にとって大きな魅力にはならない。

「ほんの少しでも期待した私がバカだった！」

もうすぐ12時だ。早く寝ないといけない。