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｢頼むから、帰らなきゃよかったなんて、言わないでくれ…｣
お前の口から、そんな言葉は聞きたくない。
音のない声が、耳の奥で静かに浸透する。
｢……ごめん｣
視界の端に映る金色は、風に揺れてふわふわと動いている。
そっと手を伸ばして、その髪に触れた。
記憶と変わらない、指通りのいい綺麗な髪の毛。
｢帰りたいって思いは本当だよ、あたしの家だもん、帰りたいよ。
…でも、やっぱりどうしても不安なの。
三年間、空白なのはあたしだけ。
革命軍では時間は動いていて、記憶は薄れていく。
あたしが抜けた穴はいつまでもそのままじゃない、もうとっくに埋まってるでしょ。
帰ったって、そこにあたしの居場所はどこにもないんじゃないかって、どうしても考えちゃうんだよ｣
｢バカ｣うなじをくすぐる吐息から、サボがそう呟いたのが聴こえた。
｢いつからお前は、そんな悲観的になったんだよ。
…オレの知ってるAは、いつだって前向きなヤツだった。
辛い時だって、心配かけまいと笑顔を浮かべるようなヤツだった｣
｢……三年も経てば、人は変わるものだよ｣
｢違う｣
短く、それでいて強い否定の言葉。
｢たった三年、だろ｣
サボのその言葉を確実に届けるように、強い風が背中からぶつかる。
軽く体勢の崩れたあたしの背中を、サボが支えてくれた。
力強い、大きな手で。
｢たった三年程度でAの存在を消せるほど、お前の存在は小さくなんかない。
何度だって言う、A、お前は帰って来ていいんだ。
Aの居場所は、Aにしか埋められない。
Aの代わりなんて、誰にもなれないんだ｣
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三暁 那保(プロフ) - ひいらぎ。さん» 最後までお読みくださって、どうもありがとうございます！ いつも、暖かいコメントを頂けて、本当に嬉しく思っておりました。どこかで名前を見かけましたら、覗いて頂けると幸いです。最後までお付き合いくださり、本当にありがとうございました！ (2020年10月10日 20時) (
レス) id: 7810e58c3c (このIDを非表示/違反報告)
ひいらぎ。(プロフ) - また三暁様にお会い出来ましたら、読ませていただきます！止まった時計、お疲れ様でした！ありがとうございました(*^^*) 長々と申し訳ありません。 (2020年10月10日 14時) (レス) id: 9be106f98e (このIDを非表示/違反報告)
ひいらぎ。(プロフ) - 遅くなりましたが、完結おめでとうございます！そして素晴らしい作品をありがとうございます！最後はどう終わるのかとてもドキドキしてました！三暁様らしい丁寧な世界に入り込めそうなほど、素敵な最後でした！また読み返してきます(*^^*)→続く (2020年10月10日 14時) (レス) id: 9be106f98e (このIDを非表示/違反報告)
三暁 那保(プロフ) - サッカーバカさん» ありがとうございます。記憶喪失はロマンですよね(笑) 次の作品はまだ未定ですが、どこかで名前を見かけた際には、覗いて頂けると幸いです。最後までお付き合いくださり、どうもありがとうございました。 (2020年10月8日 21時) (レス) id: 7810e58c3c (このIDを非表示/違反報告)
三暁 那保(プロフ) - あおい亜緒さん» どうもありがとうございます！ 読んでくださる方がいたからこそ、こうして完結することができました。心から感謝しております。本当にありがとうございました。 (2020年10月8日 21時) (レス) id: 7810e58c3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三暁 那保
| 作成日時：2020年8月10日 19時
