134秒 ページ23
あの人に会った時も、この綺麗な音が鳴っていた。
そうだ…、鐘の音に紛れるように呼ばれた名前に振り向いたその先に、驚いて目を真ん丸にした彼がいたんだ。
｢………｣
鐘の音に合わせるように、一歩一歩近付いてくるその人は、私の前で立ち止まる。
ひと一人分開いた距離、柔らかく微笑む顔が眩しくて。
｢悪い、待たせたな｣
電伝虫から流れたものよりも、わずかに高い声。
周囲のざわめきが消えて、彼の声だけが私の耳を満たす。
｢……っそれは、こっちのセリフ…ですよ｣
声を聴いただけであんなにも泣きたくなったんだもん、姿を見たらもうダメだ。
栓が外れてしまったみたいに止まらなくて、拭っても拭っても追っつかない。
ポタポタと止めどなく流れる滴は腕を通り抜けて、点々と地面の色を変える。
｢ちょっと見ない間に、ずいぶん泣き虫になっちまったな｣
ぼやける視界に映る彼は、今どんな顔をしてるのかわからない。
それでも時折触れられる手は暖かくて、ますます涙は止まらなくなった。
｢その、ごめんなさい｣
飲食店に入り、イスに座ると同時に頭を下げた。
散々待たせた挙げ句、顔を見た途端に号泣だなんて、いい加減恥心でどうにかなりそう。
私のその謝罪に苦笑して、彼は濡れたタオルを差し出してくれる。
おそらく泣き過ぎて、目が赤くなっているんだろう。
もしかしたら腫れてるのかもしれない、怖くて確認したくないけど。
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三暁 那保(プロフ) - まめちゃんさん» お返事遅くなりまして、申し訳ありません。コメントありがとうございます！全部読んで下さったなんて、とても嬉しいです！そのお言葉だけで十分です、ありがとうございます！今後も楽しんでもらえるよう、誠心誠意頑張ります！ (2020年7月1日 19時) (
レス) id: 7810e58c3c (このIDを非表示/違反報告)
まめちゃん(プロフ) - こんばんは。小説全て読ませていただきました。言葉や表現がすごく綺麗で、とっても素敵でした！どれも何度も読み返したくなるものばかりです！こんなに素敵なものを読んだのに感想を上手く伝えられないのがもどかしいです。これからも楽しみにしています。 (2020年7月1日 0時) (レス) id: 0c53fba3ac (このIDを非表示/違反報告)
三暁 那保(プロフ) - 雪華さん» お誘いありがとうございます。せっかくのお話ではありますが、今はこの作品を完結させる事を優先させたく存じます。ご期待に沿うことが出来ず、申し訳ありません。また機会がありましたら、お声かけ頂けると嬉しいです。 (2020年6月26日 22時) (レス) id: 7810e58c3c (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - あの、良かったら一緒に合作をします? (2020年6月26日 19時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三暁 那保
| 作成日時：2020年6月9日 19時
